11 叱責されたこと

1 誰しも経験すること
 子供の頃,親から,あるいは,他人から,叱責された経験は,誰しも,あるのではないかと思います。
 しかし,人が大人になると,おいそれとは,親も人も,叱ってはくれません。

2 叱責の意味
 叱責とは,あなたのしたこと,言ったことが,間違っている,との指摘と,その是正の求め,と言ってもよいと思います。
 そこには,あなたではない,叱責した人の価値判断があり,その価値判断により,あなたの言動が間違っている,と指摘されるのです。

3 叱責に対する反応
 叱責に対し,叱責される人の反応は様々です。
 素直に,その叱責の中で指摘された,自分の間違いに,気付き,反省をもって,是正する人や場合もあれば,自分の言動が間違いだとは,つゆも,思わず,叱責した人に,反発,反感,反抗を覚え,指摘されたことの是正をするなど,思いもよらない,と考える人や場合,あるいは,指摘された自分の言動に,何らかの問題があるとの認識には至るものの,叱責を我が身に浴びせられた非難ととり,非難を躱すに急なる余り,弁解に,相務める人や場合も,あるでしょう。

4 叱責は,またとない,貴重な学びの機会
 叱責されることは,自分ではない,他人から見た自分の姿を,そこに,見る,という機会が,与えられたことです.
 他人の目から見た自分の姿は,自分の目から見た自分の姿より,あざらかです。ここは,じっくり,その鮮明な自分の姿を,眺めるべきでしょう。
 眺め,見つめ直し,熟慮しても,自分の言動に,いささかの間違いもないと,思うに至ったとしても,自分の言動が,親から,あるいは先輩や知人から,利害のからむ人から,非とせられた事実は,事実として受け入れるのです。

5 叱責されたことは,何年も先に,生きてくる
 そのときは,反発,反抗しか生じなかったとしても,叱責されたことは,何年か後,必ず,どこか腑に落ちることになるから,不思議です。
 ですから,叱責されたことから学ぶことは,自助の力で学ぶことに数倍すること,間違いありません。