1 地方自治法14条1項
地方自治法14条1項は「普通地方公共団体は,法令に違反しない限りにおいて・・・条例を制定することができる。」と規定しています。
2 最高裁昭和50.9.10大法廷判決は,
地方自治法14条1項は,
① 条例が,国の法令に違反する場合には,無効である。
② しかしながら,条例が法令に違反するかどうかは,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。
③ 国の法令中に,一定事項について,規律する明文の規定がない場合
ア それが規制をすべきでないという趣旨で規定を置かなかったとすれば,条例でそれを規制することは許されない。
イ しかし,法令と条例とが併存する場合でも,条例の目的が法令の目的や意図や効果を阻害することがないとき,あるいは,法令と条例が同一の目的に出たものであつても,国の法令が全国一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく,それぞれの普通地方公共団体においてその地方の実情に応じて別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じえない。
④ 条例では,一定の行為をしたものを1年以下の懲役若しくは禁錮又は5万円以下の罰金を科するものとしていたが,これは道路交通法の規定による警察署長が付した許可条件に違反した者に対して3月以下の懲役又は3万円以下の罰金を科するものとしているのと対比するときは,重いものであっても,無効ではない,と判示しました。