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夫婦 財産分与

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<夫婦 財産分与


1 離婚に伴う財産問題にはどのようなものがありますか。
 民法770条1項に定められた次の離婚原因がある場合です。    
@財産分与
A慰謝料
B子の養育費
 があります。

2 財産分与とはどのようなものの分与ですか。
 財産分与の内容としては、
(1)婚姻中の夫婦共有財産の精算
(2)離婚後の弱者に対する扶養料
(3)離婚による慰謝料
(4)過去の婚姻費用の精算
 があるとされています。

3 財産分与の中に慰謝料があるとすると、財産分与とは別にある離婚給付の一である慰謝料とはどのような関係になるのですか。
 離婚による慰謝料は、財産分与請求権とは別に請求が可能でありますが、財産分与請求権の中に含める場合もあります。
 最高裁判所は、妻から提起した離婚訴訟において、離婚と財産分与を命ずる判決があり、確定した後になって再度、妻から慰謝料請求がなされた事案において、財産分与請求と慰謝料請求は、おのずと目的が違うもので、別個に請求するのは差し支えないが、財産分与には離婚による慰謝料を含めて定めることもできるので、すでに財産分与によって請求者の精神的苦痛がすべて慰謝されたものと認められるときは、重ねて慰謝料を請求することはできない、しかし、財産分与がなされても、それが離婚による慰謝料を含めた趣旨とは解せられないか、含めたとしても精神的苦痛を慰謝するには足りないと認められるときは、別個に離婚による慰謝料を請求することができるとしております。

4 婚姻中夫婦の協力によって得た財産の精算としての財産分与とは何ですか。
 住宅などの不動産、自家用車、共同生活の基金とされます預金、株券などで、夫婦の一方の名義になっていますものでも、婚姻中に夫婦が協力して取得したものは、財産分与の対象になります。
 ただし、夫婦の中には、それぞれが収入を得、預貯金も管理し、必要な時にはそれぞれが生活費を出し合って共同生活を営んでいますというケースもありますが、判例の中には、そのような場合は、婚姻中から預貯金などについてはそれぞれの名義人に帰属する旨の合意があったと解するべきであるとして、各個人名義の預貯金等を財産分与の対象にはならないとした事例があります 。

5 夫婦名義の財産はなく、夫の働きで夫の父や会社の名義の資産になっている場合でも財産分与の請求は出来ますか(いわゆる第三者名義の財産)。
 第三者名義の財産でも、財産分与の対象となることはありますが、第三者からその財産を提供させることができないので、金銭で評価して処理されますこととなります。
 例えば、夫が経営する会社の資産が夫婦の働きで作った場合でも、会社は原則として、夫とは法人格が別なので会社の資産は財産分与の対象にはなりませんが、会社と言っても全くの名目だけで、その実態は夫の個人経営の域を出ず、実質上夫の資産と同視できる場合には、公平の観点から、夫の資産として評価し、分与の対象に含めるのが相当であるとした判例があります。
 また、夫婦が一方の両親と共に共同で家業に従事した場合など、多くの場合は営業による収益と家計が区別されないで、家族の労働の成果が夫の父親の財産として蓄積され、息子夫婦の共同財産としては何も残っていないことがありますが、このような場合は家族の全体財産に対する夫婦の共有・共同財産分を認定し、これを財産分与の対象として処理すべきであるとする判例もあります。

6 将来夫がもらうことになる退職金も財産分与の対象になりますか。
 離婚後に当事者の一方が退職をし、退職金が得られるころが予定されている場合も財産分与の対象とすべき場合があるとされています。
 判例の中には、夫が離婚後半年ほどすると、勤務先を定年退職し、2000万円を下らない退職金の支給を受けることが予定されている事案で、妻の離婚後の生活に不安があるなどを考慮し、夫に1500万円の分与を命じたものがあります。
 また、平成10年3月13日東京高等裁判所決定は、将来支給をうける退職金であっても、その支給をうける高度の蓋然性が認められるときは、退職金のうち婚姻期間に対応する部分について、財産分与の対象となると判示しております。
 同決定はまた、退職金が仮に離婚前に支給されていたとしてもその全額が離婚時まで残存しているとは限らないし夫が支給をうける退職金について妻の寄与率を夫と同一とみるのも妥当ではないとして、退職金についての妻の寄与率を4割とするのが相当であるとし、その支払い時期は夫が退職金の支給を受けた時としております。
 なお、同決定がした、妻が財産分与として取得すべき夫の退職金の額は次の式で計算した金額です。
 計算式
{夫の月額基本給40万円×(離婚までの勤続年数33年の支給率54−婚姻以前の勤続年数10年の支給率15)−30万円(所得税及び市町村民税の概算合計額)}×0.4(妻の寄与率)=612万円
7 夫が将来もらえる退職金については、離婚の際、妻は財産分与として請求はできないのですか?
 仙台地裁平成13/3/22判決は「被告は、原告に対し、第1項の離婚判決が確定した日以降において、市職員共済組合から退職共済年金を支給されたときは、当該支給にかかる金額の10分の3に相当する金員を、当該支給された日が属する月の末日までに支払え。」と命じています。
 年金も退職金と同様と考えてよいと思います。
 ただし、平成16年に厚生年金法が改正され、平成19年4月1日からは、離婚した場合に年金分割が可能になりましたので、夫婦双方が被保険者となっている場合は、合意または家事審判または人事院による付帯処分として裁判所が定めた按分に基づいた年金分割がなされることで解決できるものと思われます。

8 年金についてはどうなんですか。

 仙台地裁平成13/3/22判決は「被告は、原告に対し、第1項の離婚判決が確定した日以降において、市職員共済組合から退職共済年金を支給されたときは、当該支給にかかる金額の10分の3に相当する金員を、当該支給された日が属する月の末日までに支払え。」と命じています。
 年金も退職金と同様と考えてよいと思います。
 ただし、平成16年に厚生年金法が改正され、平成19年4月1日からは、離婚した場合に年金分割が可能になりましたので、夫婦双方が被保険者となっている場合は、合意または家事審判または人事院による付帯処分として裁判所が定めた按分に基づいた年金分割がなされることで解決できるものと思われます。

9 債務も財産分与の対象になるのですか。
 判例によりますと「婚姻生活維持のための債務」と「夫婦が協力して得た財産取得のための債務」は財産分与の対象になっています。
 昭和61年6月13日東京家裁審判(家月38-10-33)は、妻がサラ金に対し600万円の債務を負っているケースで、生活費に入れたもの、そうでないものを分けて、妻に7割、夫に3割負担させることにして夫より妻に対し150万円を支払わせる内容の審判がなされていますが、財産分与は、原則的には「(積極財産ー消極財産)÷2」を金銭で清算することになっています。
 住宅ローンも債務ですので「(不動産の時価-ローン債務残高)÷2」を住宅の取得者である夫から妻に分与することを命じた判決(東京地裁平成11/9/3)があります。
 では、オーバーローンの場合はどうか?
 例えば、夫名義の不動産の時価が2000万円に対し夫名義の住宅ローン債務が3000万円ある場合、理論的には、財産分与額は(2000万円ー3000万円)÷2=ー500万円になりますので、財産分与として妻から夫に対し500万円を支払うことになりそうですが、東京高裁平成10/3/13決定(家月50-11-81)では、オーバーロンの場合不動産の価値はゼロであるから財産分与の対象にしないという判断をしています。
 一般にこれは妥当な判断だとされています。
 なお、調停実務の中では、よく、住宅ローンの支払額の一定割合(多くの事例では半分を要求)を財産分与として認めてもらいたい旨の要望を聞くことがありますが、これは認められません。
 例えば、夫名義の財産を買うのに夫婦共有の預金から頭金500万円を出し、その後住宅ローン債務を1000万円支払ったという場合です。
 この場合は夫婦で1500万円支出していますので、離婚の際、名義人ではない妻から半分の750万円を財産分与として支払ってもらいたいとの要求が出るのです。
 しかし、財産分与というのは、離婚時の財産の分与ですから、離婚までに支出された金額は分与の対象にはならないのです。
 ただし、例外もあります。
10 資産がない場合は財産分与は認められないのですか。
 夫婦共同財産ではない、夫婦それぞれの元々の財産を特有財産と言いますが、夫婦の一方が他方の特有財産の形成維持に貢献した場合、財産分与請求ができるとされます場合があります。
 判例で、夫婦がいずれも養子であって養母が死亡し遺産分割をすることとなった際に、夫が妻に土地を取得させる遺産分割協議をした時は、実質的には夫が持ち分権を妻に贈与することにより、妻の財産形成に寄与したものとみることができるから、夫の法定相続分を限度として、妻から夫に対する財産分与が命じられた事例があります。


11 財産分与の対象にならない特有財産とは何ですか。
 特有財産はいかなる場合でも財産分与の対象にならないのですか。

 夫婦共同財産ではない、夫婦それぞれの元々の財産を特有財産と言いますが、夫婦の一方が他方の特有財産の形成維持に貢献した場合、財産分与請求ができるとされます場合があります。
 判例で、夫婦がいずれも養子であって養母が死亡し遺産分割をすることとなった際に、夫が妻に土地を取得させる遺産分割協議をした時は、実質的には夫が持ち分権を妻に贈与することにより、妻の財産形成に寄与したものとみることができるから、夫の法定相続分を限度として、妻から夫に対する財産分与が命じられた事例があります。


12 財産分与の割合は夫婦半々ですか。
 判例は、具体的な事案ごとに夫婦が共同財産の形成に寄与した内容を検討し、その具体的寄与度を評価すべきとする見解(寄与度説)を採用しています。
 そして寄与度が不明であれば平等としています。
 寄与に対する評価としては、直接金銭に評価して分与する実額方式と、共同財産に対する寄与度を割合的に認定する割合方式がありますが、ほとんどの裁判例は割合方式によっています。
 ただ、共同財産の認定や寄与度の認定が困難な場合などに実額方式がとられることがあります。

13 寄与度とは何ですか。
 場合を分けて説明します。
(1)共稼ぎの場合
 裁判例では、夫婦共50%とする例が多いようです。妻の家事労働に対する貢献度を評価して妻の寄与割合を6、夫のそれを4とした事例もあります。
 お互いが仕事を持ち、家事を協力している場合は、事案により実額方式によるものがよいとされています。
(2)専業主婦の場合
  裁判例では、30%〜50%の範囲内で認定していますものが多いようです。夫が医療法人の理事長、妻が専業主婦の事例で、夫の財産は妻の協力もさることながら、医師ないし病院経営者としての手腕能力に負うところが大きいとして、別居後に取得された財産も含めて20%を妻の寄与分と認めた事例もあります。

14 財産分与に扶養的財産分与があるということですが、どういうことですか。
 離婚によって生活に不安の出てくる配偶者には扶養的財産分与が認められることがあります。
 まず通常の精算型財産分与をなし、慰謝料が請求できる場合にはそれをした後でもなお生計を維持するに足りない時は、これらを補うものとして扶養的財産分与請求が認められるのです。
 なお、扶養的財産分与の場合は金銭による一時金の支払いをさせる事例もありますが、毎月何万円かあての定期金で支払いを命じた裁判例もあります。

15 分与する財産に賃借権がある場合、何か問題はありますか。
 財産分与で現物による分与をする場合に、第三者との関係で問題になるのが賃借権です。
 賃借権は賃貸人の承諾がなければ譲渡ができないので、無断で賃借権を譲渡すると解除され立ち退かなければならないことになります。
 しかし、財産分与で夫が持つ賃借権を妻に譲渡した場合に地主の承諾を要するとすれば、妻の地位が極めて弱いものになるますので、判例は、財産分与が潜在的持ち分の清算的性質を有することを強調し、財産分与による賃借権の移転は無断譲渡に該当しないとして賃借人に対抗できるとしています。
 ただ、すべての場合について言えるのかは不明です。

16 農地については問題がありますか。
 農地については、かつては農地法上の県知事の許可との関係が問題とされていましたが、昭和45年に農地法が改正され、財産分与による農地の移転には県知事の許可は必要でないこととなりました。

17 オーバーロンにかかる夫婦共有の不動産を単独所有にする方法
 (1) 財産分与の方法は?
 婚姻後金融機関から金銭の借入をして取得した不動産の時価よりも、その借入債務(住宅ローン等)の方が大きく、その債務を担保する抵当権等が設定されている場合、その不動産は実質的には無価値に等しく、この場合は、離婚の際財産分与の対象にならないとされています。
  (2) では、共有物分割は可能か?
 可能です。
 共有分割方法は、現物分割が原則ですが、現物分割ではその価値が著しく損なわれる場合は、競売による売得金から競売手続費用を控除した金額を共有者が共有持分に応じて分け合う方法や、全面的価格賠償があります。
 東京地方裁判所平成18年6月15日判決は、全面的価格賠償を認めた事例ですが、紹介しますと、この事案は、建物の敷地は元妻、その兄、その母の共有、建物は元夫と元妻の兄の共有(2分の1あて)、建物を建てるときに金融機関から借入をし、その残債務が建物の時価を超えているいわゆるオーバーローンになっているケースです。
 元妻は元夫に100万円を支払うことと引換えに建物を元妻の単独所有とする共有物分割請求をしました。
 裁判所は、建物の共有は、登記上の2分の1づつではなく、元夫が負担した金額と、元妻やその兄が負担した金額の割合から、建物の共有持分割合は、元夫30.0パーセント、元妻の兄(元妻の負担部分を加えて)70.0パーセントとしました。
 その上で、建物の価値は競売を考えた場合はゼロであること、さらに、建物には元妻、元妻の兄や母、元夫婦の子らが居住しており、元夫と元妻は離婚しているから、元夫がここに居住する現実的な可能性はなく、元夫の利益を金銭に換算することはできないので、原告持分の価格は、ゼロではないとしても100万円を超えることはないとして、元妻が元夫に100万円を交付する内容の全面的価格賠償が認められるべきである、と判示し、結論として、建物は被告の所有とする。
 元妻の兄は元夫に対し、金100万円を支払え、という分割をしました。

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