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非公開会社のための会社法

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<非公開会社のための会社法

 2006年5月1日から施行された会社法の下では、より自由で、より自治的な会社経営ができることになりました。特に、非公開会社(その発行する株式のすべてが譲渡制限株式である株式会社のことを言います。)には、さまざまな魅力ある経営メニューが用意されており、緊張感の伴う活力ある会社経営が期待されます。

非公開会社の意味

 非公開会社は、公開会社ではない会社を言います。公開会社とは、「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう」とされていますので、非公開会社とは、株式譲渡制限会社すなわち商法時代で言うところの「すべての株式の譲渡について、会社の承認を必要とする旨の定めを、定款に定めている株式会社」のことです。
非公開会社の発行する株式は全部が譲渡制限株式でなければなりません。一部の株式のみを譲渡制限株式(これは種類株式になります。)にしている会社は、非公開会社ではありません。
 ここでは、主として非公開会社を対象に、新会社法の解説を連載いたします。



1 会社の設立
(一) 株式会社の設立が容易になりました。
1,最低資本金規制が撤廃されました。
 1円でも株式会社の設立は可能になりました(設立費用は最低24万円)。

2,類似商号規制が撤廃されました。
 ただし、通常、法人は商号と住所で特定されますので、同一住所で同一商号の会社が複数存在するという事態は望ましくなく、同一商号を同一の住所で登記することは禁止されています(改正商業登記法27条)。同一市町村内において、自社の商号と同一または類似の商号を使用された会社がいる場合、その救済方法としては、会社法8条2項で、「不正の目的」をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用されたことによって営業利益を侵害され、あるいはそのおそれがある場合は、不正目的で商号を使用する者に対して、侵害の停止または予防を請求することができます。「不正の目的」については、侵害の停止や予防を請求する者が立証しなければなりません。また、不正競争防止法に基づいて、差止請求権や損害賠償請求権を行使することも可能です(不正競争防止法3条〜5条)。
このような事後的な救済で、商号の不正使用(有名ブランドのタダ乗り「フリーライド」)を阻止できるかは疑問ですので、事前の阻止方法の一つとして、商号を商標として登録しておくことが考えられます。商標登録の場合、1区分、10年更新で約30万円程度の費用がかかります。


(二) 合同会社の設立が可能になりました。
 合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Companyの略で、「有限責任の会社」という意味)を参考にした会社です。LLCがアメリカで始めて導入されたのは1977年ワイオミング州でしたが、当時のLLCは、税金の扱いが構成員課税(直接構成員に税金がかかる課税方式)ではなかったため、そんなに利用はされず、1988年に、LLCに構成員課税が導入された以後急激に利用が拡大し、ほかのアメリカの州へも普及しています。1990年代の10年間にアメリカでは、株式会社は100万社設立され、同時期LLCは70万社も設立されています。アメリカでは現在も、年平均20%ほどの増加率で、LLCの爆発的な増加が続いていて、2002年の統計ではLLCの社数は94万6130社になっています。
 アメリカのLLCの業種別構成では、金融・保険・不動産だけで51%を占め、次いでサービス業の23%、製造業の10%、流通小売業が9%となっている。情報産業は2%程度です。

 映画監督で有名なスピルバーグ氏が出資しているDWLLC(ドリームワークスLLC)には日本の角川ホールディングスが出資していますが、その子会社であるDWALLC(ドリームワークスアニメーションLLC)は2004年に上場を果たしています。
 日本の合同会社は、構成員課税が認められていないため、今後どの程度設立されるかは予測できません。
 日本の合同会社は、株式会社といくつかの共通点がありますが、出資者の有限責任ということと、1人から会社が作れるということ、課税が法人税のみ等が共通です。

 株式会社との違いは、@設立費用が安いこと、A定款の認証が不要であること、B設立登記申請が簡素化していること等があります。合同会社は、またC定款自治が徹底していることも挙げられます。例えば、出資者間での出資比率と利益の配分の割合を自由に決めることができます。3名が出資した場合、AとBとCがそれぞれ30%、30%、40%の割合で出資しても、利益配分率を50%、25%、25%と定めることは自由です。高い技術やノウハウを持った人、営業が得意な人など、ノウハウや専門知識、専門技術の貢献度によって、出資比率とは違った利益配分率を定めるといいでしょう。
 前述の定款自治については、株式会社の中の非公開会社にも、後述しますが、「属人的取扱い」が認められています。

 ただ、日本の合同会社とアメリカのLLCとの大きな違いの一に、構成員課税の有無があります。
 合同会社の場合、構成員課税は認められず、法人税が課せられるだけになっています。
 アメリカでは、法人税課税と構成員課税の選択ができることから、例えば、ベンチャー企業を立ち上げて、最初の数年間赤字続きで、損失が生じた場合、その損分は他の所得との間で損益通算ができること(いわゆる、パス・スルー)などが認められていますが、日本ではそれができません。

 違いの二は、出資は労務出資が認められていないことです。合名会社の社員には労務出資が認められていますが、合同会社の出資は金銭その他の財産のみに限られることになっているのです。
 しかし、労務を提供する人を厚遇するつもりなら、例えば1円だけ出資してもらい、労務の点は、それ
こそ定款自治で、配当面で厚遇することで解決可能です。

 違いの三は、合同会社は、取締役会や監査役などを置く必要もなく、組織が簡素化されていることです。これにより、合同会社は、社員同士の合意で集中度の高いスピード経営が可能になります。合同会社は1人または極めて少数の人達の起業に向いている会社であると言えましょう。
 合同会社が、ある程度成長すると株式会社への組織変更も可能であるし、株式会社になり、やがては上場ということも可能になってくると思われます。


(三) 有限責任事業組合(LLP)も設立できます。
 LLPは、平成17年8月1日施行の有限責任事業組合契約に関する法律により、認められたものです。これは、法人ではないので、法人課税はできず、構成員課税がとられています。LLPは法人ではなく、組合です。LLC、LLPとも設立費用は6万円のみです。LLCは設立登記の登録免許税(定款の認証は不要)、LLPは組合契約登記の際の登録免許税だけです。

 LLPの利用の一つに、建設共同企業体(JV)が考えられます。現在のJVは、構成員の無限責任となる民法上の組合であり、例えば、AとB2社からなるJVについては、少なくとも、自社担当部分については無限責任を負い、ケースによっては他の構成員の債務についても連帯して債務を負うことになっていますが、LLPにすれば、出資の限度でしか債務を負わないことになります。

 なお、LLPについては、経産省より、「LLPに関する40の質問と40の回答」と題するQ&Aが発表され、ホームページで閲覧可能です。

 以下に、LLC、LLPについて、整理してみますと、
      特徴
  • 1,有限責任制
    出資額が限度
  • 2,内部自治が自由
    (例)大学教授1円の出資と企業100万円の出資で設立
    利益は教授9割、起業1割でも可
  • 3,最低資本金はLLCで1円、LLPで2円
  • 4,事業の執行も自由に決められる。
  • 5,LLCは社債発行もできる。
  • 6,LLCとLLPの違いは
    (1) 課税
    LLCは法人課税、LLPは構成員課税(構成員課税の場合は、出資額を限度に他の所得と損益通算が可能。)
    これはLLCが法人であるのに、LLPは法人ではないことに由来。
    (2) これに関連し、LLCは特許登録や不動産登記ができるのに、LLPではできない。
    (3) 許認可を必要とする業務を行うにあたって、業務を担当とする組合員にそれがあれば良しとするかについて明瞭ではない、等の問題があります。

     LLC、LLPの活用方法としては、合弁企業、JV、実験的事業、産学共同事業等があります。
     これらの起業は、LLPで起こし、利益が出ない間は損失を構成員課税で吸収し(いわゆるパス・スルー)、事業が黒字化しそうになったときにLLPを解消し、LLCまたは株式会社を設立する等が考えられます(LLPからの組織変更は不可)。

     なお、LLCやLLPが有限責任であることは、取引先としては注意すべきことになります。
    土木や建設等に見られる共同事業体(JV)がありますが、これがLLCやLLPとなりますと、構成員会社は、それまでの無限責任が有限責任になります。構成員会社には有利なこの制度は、裏面から見ると、取引先には極めて不利な制度です。LLCやLLPになったJVが、その事業で赤字を出した場合、取引先会社は、債権が満足に弁済してもらえないという事態に直面する場合もあるでしょう。
     その場合に備えて、構成員会社の保証をもらう等の考慮が必要になるでしょう。

     日本版LLP設立の実例(『新会社法A2Z』8号42pに紹介記事)日本での「確定拠出年金」制度の導入をにらんで、「自分の資産は自分で守る」ことのできる人々を育てる目的で「投資教育」をすることを事業目的とするP社と、投資家向けの教材を企業向けに販売するE社の2法人が、E社の教材とP社の講師による「投資家向けの新しい教育サービスを推進することになりましたが、この器として、LLPが設立されました。

     このケースにおけるLLPの特徴の第1は、構成員の人的資源の活用にあります。現在のビジネス環境における競争力の源泉がモノやカネから知識や技術、ノウハウなどの「人的資源」にシフトしていますが、このP&E・LLPは、P社とE社の人的資源を持ち寄ったものです。

     特徴の第2は、新規事業を行う場合は、1社単独ではなく、複数社によって得意分野を持ち寄り、相互補完型の「共同事業」をすることで相乗効果を生み出すことの重要性が指摘されていますが、P&E・LLPは、まさしくその相乗効果を発揮している点です。

     特徴の第3は、P&E・LLPは、"目的と期間を限定した共同プロジェクト”という点です。うまくいけば、将来的には合弁会社の設立が検討されるでしょう。

     この3つの特徴に加えて、出資リスクを限定する有限責任制度や、構成員課税(パススルー)の恩恵を受けることことは、言うまでもありません。

(四)有限会社は設立できなくなりました。
 有限会社法が廃止されたためです。それまでに設立された有限会社は、そのまま、有限会社という商号を使って存続できます。法律上は株式会社になるのですが、「特例有限会社」として、有限会社を名乗るのです。経過措置法で、それまでと何も変わりませんが、商号を株式会社に変え、会社法の適用を受けることも可能です。そのときの登記の手続は、有限会社の解散登記と株式会社の設立等になります。


2 株式   株式制度はずいぶん変わりました。 以下に述べる株式制度を活用することで、経営者は安定した経営が出来、投資家は会社の価値の増大の恩恵をそのまま受け、いつでも投下資本が回収でき、経営者は、会社の経営の安定性を失うことなく、事業の承継がスムースにできることになります。
 1,属人的取扱い
 非公開会社では、株主平等の原則に反して、株主による差別が認められることになっています。これを『株主の属人的取扱い』と言います。会社法109条1項では、「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」と定めています(これを『株主平等の原則』といいます。)が、2項で、「前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第105条第1項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。」と規定しているのです。会社法105条1項の権利とは、剰余金の配当を受ける権利・残余財産の分配を受ける権利・株主総会における議決権を言いますが、これらを合わせたものが「株主権」と呼ばれています。

 要するに、会社法は、非公開会社については、株主権について、株主毎に異なる扱いをすることを認めているのです。


  活用例1
 父が株式の過半数を持ち、会社経営のことは何でも父の意思で決めてきたが、その父が、相続税対策として、少しづつ株式を後継者の息子や他の家族に譲渡していくと、やがては父の持株が過半数割れになる。そうすると父の議決権も過半数割れになり、息子や他の家族と経営方針が違ってきたとき、突然父が代表取締役を解任される、という場面も想定されます。そのような事態の発生を恐れる父は、おいそれとは株を息子に譲渡できないことになりますが、会社法の属人的取扱いを使いますと、この難問がいっぺんに解決できるのです。
このケースでは、父に、持株数にかかわらず、議決権の51%、あるいは定款の変更まで自由にできる67%までを認めることにすれば良いのです。

 例の2としては、有力取引先に資本参加してもらうため、その取引先への配当は、他の株主への配当の2倍にする等優遇を約束することもできます。
既存の会社が、このような定款に変更する場合は、株主総会で特殊決議(総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数をもってする決議)と呼ばれる決議をすることが必要になります。

 根拠条文は、会社法309条4項
 第109条第2項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の4分の3(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。」

 会社法は、定款自治を認めていますが、この属人的取扱いもその一つです。今後、大いに実務に取り込まれることと思います。
なお、定款自治の時代を迎えますと、定款の内容が重要になってきますが、会社法31条は、株式会社の成立後は、株式会社は、その本店及び支店に、定款を備え置かなければならないこと、株主及び債権者その営業時間内は、いつでも、定款の閲覧や謄本又は抄本の交付の請求ができることになっておりますので、この制度を利用して、株主も債権者も定款の内容をよく知っておくことが必要になります。


2,多様な種類株式が発行できることになりました。
 特に、株主から会社に対し株式の買取を請求できる株式や、反対に会社が株主から強制的に株式を買い上げることができる株式等魅力的な株式の発行ができるのです。
 新会社法が定める株式は、譲渡制限株式の外は、
  • @ 剰余金の配当における優先株や劣後株
  • A 残余財産の分配における優先株・劣後株
  • B 議決権制限株
  • C 取得請求権付株式
     この株式は、株主から会社に対して、一定額で株を購入してくれと言える株式のことです。
  • D 取得条項付株式
     取得条項付株式とは、取得請求権付株式とは反対に、会社が、一定の事由が生じたことを条件として、株主の同意なしに、その株式を取得できる旨の条項が付けられている株式のことです。例えば、従業員に株式を持たせ、退職時に会社が取得することができることを定めること等が考えられます。
  • E 全部取得条項付種類株式
  • F 決議に対して拒否権を認めた種類株式
  • G 役員選任権付種類株式(ただし、この種類株式は、委員会設置会社と公開会社は発行できない。)があります。
 種類株式の意味
 株式会社が、株式を発行する場合、まず、会社法107条で、「その発行する全部の株式の内容」として
(1) 譲渡制限株式
 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
(2) 取得請求権付株式
 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
(3) 取得条項付株式
 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。を発行することができますが、これは、全株式が同一のため、異種がなく、種類株式ではありません。
これに対し、一部の株式とすることができる株式は、会社法108条に規定しているもので、前記@ないしGの株式と譲渡制限株式があります。この中には、前記(1)ないし(3)も含まれていますので、(1)ないし(3)の株式は、全部の内容とすることもできるし、株式の一部の内容とすることもできる株式になります。

  譲渡制限株式について
  一部の株式を、譲渡制限株式にする場合の問題点
  この場合の会社は、非公開会社にはなりません。注意が必要です。
  非公開会社でないと認められない、株式の属人的扱い等の規定を利用したかったら、すべての株式を譲渡制限株式にしなければなりません。
  一部の株式を譲渡制限株式にする場合は、
 ・すべての株式でなく、一部の種類株式について譲渡を制限すること。
 ・株主間の譲渡について、承認を要しないこと。
 ・特定の属性を有する者(従業員等)に対する譲渡については、承認を要しないこと。
 ・譲渡を承認しない場合において先買権者をあらかじめ指定しておくこと。
 ・取締役会を設置する会社において、承認機関を株主総会とすること。
を定款で定めることができます。


  利用方法
  議決権のある株式を譲渡制限株式にし、議決権制限株式を譲渡制限をしない等


  議決権制限株式
  商法下では、株式会社の議決権制限株式の発行を、発行済株式総数の1/2までに制限していましたが、新会社法では、非公開会社の場合は発行限度が撤廃されました。


  議決権制限株式も種類株式の一つですので、次のような制約があります。
  すなわち、種類株式を発行している会社では、次のような行為を行った結果、ある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)の他に、その種類株式の株主で構成される「種類株主総会」の特別決議が必要とされます。
  @ 株式の種類追加など一定の事項に関する定款変更。
  A 株主割当による新株発行等。
  B 合併等の組織再編。
  C その他会社法第322条に規定する内容
 ただし、あらかじめ定款で種類株主総会の決議を必要としない旨を定めることも可能です。


  相続税の評価方法が変わります。
  2007年3月7日の新聞には、国税庁は、経営に関与しない無議決権株は相続税の評価を5%軽減(その分普通株は評価が高くなり、全体としては評価額が増減しない。また金庫株の評価は普通株評価)する方針であることが報ぜられていますが、これにより、種類株の活用が増えることが期待されています。
  なお、黄金株とは拒否権付株式のことです。取締役の選任や解任、合併や事業譲渡といった、会社の経営を左右する重要な決議を拒否する事が出来る権利を持った株式のことです。 この黄金株の利用方法ですが、会社が敵対的買収を受けた時に、株主総会で買収者の議案を否決するためのものです。
  黄金株の発行は企業防衛に利用できますが、東京証券取引所では、「取締役の過半数の選任や解任」といった重要事項の決議で拒否権を発動する黄金株の発行は認めない。もし、このような黄金株を発行をした会社は、上場廃止もあり得るとしております。


  取得条項付株式・取得条項付新株予約権
これは、「一定の事由」が生じた場合に、株主の意思に反しても、会社が強制的に会社の財産にしてしまえる株式・新株予約権のことです。
例えば、「一定の事由」として、「議決権の20%以上の株式を保有する株主が現れた場合」と定めた場合は、そのような株主が現れた場合、会社は、その株式を取得してしまえるのです。


  全部取得条項付株式の導入の趣旨
  全部取得条項付株式は、株主総会の特別決議によって、その種類の株式の全部が会社に取得される株式のことです。
  全部取得条項付株式の導入の趣旨は、債務超過に陥った会社が私的整理をするに至ったときに、既存株主の株式を無償で強制消却することができるようにするためです。
  旧商法下では、株式全部の消却(いわゆる100%減資)は、法的整理においてのみ認められており、法的整理によらない場合には、株主全員の承諾がなければ100減資はできない、と解されていました。
  新会社法下では、従来の普通株式しか発行していない債務超過会社において、@新たに全部取得条項付株式を発行することの定款変更(株主総会の特別決議と種類株主総会の特別決議)、およびA既存の株式を全部取得条項付種類株式とする旨の定款変更決議を行い、さらに、B株式の種類を2以上にするための定款変更・新たに普通株式を発行するのと同時に既存の株式全部を取得する決議(株主総会の特別決議と種類株主総会の特別決議)を、同一の株主総会で行うことができることになります。要は、必要な決議をすべて一つの株主総会で行うことができるのです。
  なお、このような決議に対し、反対株主の救済手段としては、まずのA定款変更決議に際して、公正価格での株式買取請求ができ(会社法116条1項2号)、Bの取得決議に際して、裁判所に対して株式の価格決定を請求することができます(同法172条)。もしも会社が債務超過のときは、株式の価格がゼロだといえるとすれば、本制度によって、債務超過会社の株式全部の無償取得ができることになります。
  なお、全部取得条項付株式の発行は、敵対的買収者の出現を条件としてする等、企業防衛策としてする場合も考えられます。 
  例えば、問題が生じていない平時に、すでに発行されている株式を、定款変更して、いったん「全部取得条項付種類株式」に変更し、さらにその全部取得条項付株式を、株主総会の特別決議で全部取得し、その対価として「取得条項付株式」を交付しておく。この取得条項付株式は、「一定に事由」として、「議決権の20%以上の株式を保有する株主が現れた場合」と定めおく。その後、敵対的買収者が現れても、その敵対的買収者が取得した株式は、「取得条項付株式」であり、「議決権の20%以上の株式を保有する株主が現れた場合」には会社によって取得されてしまうリスクのある株式になっている、という寸法です。それでも敵対的買収者がその株式を取得した場合は、会社はその敵対的買収者の株式のみを取得し、敵対的買収者には、対価として、現金や議決権制限付き株式を交付するのです。


3,株主の相続人から株式を強制的に買い上げることも可能になりました。
   相続や合併による株式の移転は、譲渡ではなく、株主としての法的な地位と理解されていますので、譲渡制限株式であっても、阻止できません。商法の下では、株式譲渡制限会社でも、いやな相続人であっても、株主としなければならなかったのです。
   しかし、新会社法では、 定款に「相続その他一般承継により株式を取得した者に対し、当該株式を売り渡すことを請求することができる」旨の定めを置くことで、株主総会の特別決議により、相続人等から自己株式を取得することができることになりました。
   この制度を活用するには、次のような注意点があります。
    @ 請求期限は、相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)を経て請求する必要があります。
    A 株式の売買価格は、当事者間の協議が整わない場合、裁判所に売買価格決定の申立てができますが、申立ては売渡請求の日から20日以内に行う必要があります。
    B 財源規制があります。剰余金分配可能額を超える買取りはできません。

4,株券の不発行が原則になりました。
 平成16年商法改正により、株式会社が株券不発行会社となることが認められているのですが、株券は発行するのが原則であり、不発行はその例外として位置づけられています。ところが、新会社法では、株券不発行が原則であり、株券発行は定款で定める場合にのみ株券の発行が可能と位置づけられています(会社法214条)。
 注意を要するのは、株券を発行する場合には定款の定めが必要(会社法214条)ということです。 また、株券発行会社である場合は、その旨を登記する必要もあります(911条3項10号)。この場合には、原則として、株式を発行した日以降遅滞なく株券を発行する必要があります(215条1項)。
 ただし、既存の株式会社については、整備法により、定款に株券を発行しない旨の定めがない場合は、新会社法施行後、定款には、「株券を発行する」旨の定めがあるものとみなされる(整備法76条4項)ことになっています。また、会社法施行日に「株券発行会社である」旨の登記がされたものとみなされます(整備法113条4項)。

 したがって、既存の株券発行会社が株券不発行会社に移行するためには、定款に株券不発行の定めを置くことが必要です。新会社法の施行により、当然に株券不発行会社に移行するわけではありません。

 なお、上場会社はすべて株券を発行していますが、証券保管振替機構(ほふり)に株券を預託していると、株券の交付なく株式を売買することができます。そして、上場会社の株式については、「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」(株式等決済合理化法)で、平成21年6月までに株券を一斉に電子化することが予定されています。株券が電子化(ペーパーレス化)されると、株式の譲渡は、証券会社等の口座における名義の移動でその効力が生じ、対抗要件が具備されることになります。この新しい制度への移行は、平成21年1月(予定)に一斉に行われ、この移行をもって株券は無効になります。移行時点で、証券保管振替機構(ほふり)に株券を預託している場合には、特に手続は必要ありませんが、証券保管振替機構(ほふり)に株券を預託していない場合には、注意が必要です。


5,株主名簿が大切になってきます。
 株式会社は、株主名簿を作成し、これに一定の株主名簿記載事項を記載し、又は記録しなければなりません(会社法121条)。また、株主は、株券不発行の株式会社に対しては、当該株主の株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができ、この書面には、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役)が署名し、又は記名押印しなければならない(会社法122条)ことになっています。また、株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならず、株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、株主名簿の閲覧又は謄写の請求ができることになっています(会社法125条)。
 定款の備え置きや閲覧等については、前述したとおりです。

 自己株式の取得について
 自己株式は、会社が株を買って自社の金庫に保管するイメージから、金庫株と呼ばれます。
 平成13年の改正商法以前は、会社は原則として金庫株を保有することは出来なかったのですが、それ以後は解禁となりました。理由の第一は資本効率の向上です。第二は、株式交換や合併買収(M&A)などによる事業再編への利用です。金庫株を活用して株式交換でM&Aを行えば、現金での買収と比べて安くあがります。
 自社株を買い入れる方法は、
@会社法156.157で定める、すべての株主から申込みを受ける方法
 これは、普通決議(臨時株主総会でも可能。総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の過半数の賛成)で決定できます。
 この、あらかじめ譲渡人を定めない自己株式の取得の制度による場合、株主総会で決議して取締役(取締役会設置会社では取締役会)に授権する事項は次のとおりです。
  • ア 取得する株式の数(種類株式発行会社では、株式の種類および種類ごとの数)。
  • イ 株式と引き替えに交付する金銭等の内容と総額。
  • ウ 株式を取得することができる期間。
  です。
 授権決議後は、会社は取締役(取締役会)の決議を経て全株主に対して1株当たりの取得価格などの買受条件を通知し、これに応じた株主から自己株式を取得することができるようになります。
A会社法160で定める、特定の株主から取得する方法
 この場合は、株主総会による特別決議(臨時株主総会でも可能。総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)が必要です。
 この場合、他の株主は、自己を売主に追加することを請求できることになっています(会社法160条2.3項)。
 なお、相対取引で自己株式を取得する場合は、株主総会の特別決議において、
  • ア 取得する株式の数(種類株式発行会社では、株式の種類および種類ごとの数)。
  • イ 株式と引き替えに交付する金銭等の内容と総額。
  • ウ 株式を取得することができる期間。
  • エ 譲渡人となる株主(譲渡人以外の株主は、自己を譲渡人に加えることを請求できる)。を定めて取締役(取締役会設置会社においては取締役会)に授権することが必要です。
B証券市場で取得する。
 証券市場から買い取るときは、定款にその旨を記しておけば、取締役会設置会社なら取締役会で決議出来ます(会社法165条)。
  財源規制があります。すなわち、自己株式の買い入れに充てる財源は、剰余金から自己株式の帳簿価格を差し引いた分配可能額の範囲で無ければなりません。(会社法461条1項)。ただ、その定時総会で法定準備金(資本準備金および利益準備金)の取り崩しや資本減少を決議した場合には、自己株式取得価格の総額は、分配可能額に法廷準備金の減少額や資本の減少額を加えることが出来ます。
  なお、金庫株には議決権はありません。

募集株式の発行
1,募集株式
 「募集株式」とは、募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式(会社法199)のことです。
 募集株式には、株式会社が新たに発行する「新株」と株式会社が保有している既発行の株式、つまり「保有自己株式」があります。
 また、「募集」とは、株式の引受けを勧誘する行為を言います。
 この中には、
  • @ 不特定多数の者への勧誘である「公募」(募集事項の決定)
  • A 縁故者に対して引受けの勧誘をする「第三者割当」
  • B 株主に対しその持株数に応じて株式の割当てを受ける権利を付与する「株主割当」
があります。

2,募集株式の発行
 募集株式を発行する場合は、199条1項各号の募集事項を決定しますが、株主割当の方法をとるときは、さらに202条1項各号の事項を決定します。

3,既存株主の利益
 既存の株主には、
  • @ 支配比率(発行済み株式総数に占める持株数の割合)を維持する。
  • A 持分価値(1株あたりの純資産額)を維持する。
という利益があります。

4,既存株主の利益と募集株式の発行
(1) 募集株式の発行が、株主割当の方法で行われる場合は、既存株主の支配比率は維持されます。

 この場合、
ア 時価で募集株式が発行される場合は、持分価値も維持されますが、
イ 時価よりも安い価額で発行される場合は、支配比率は維持されるが、持分価値は低下します。
ウ しかし、全株主が株主割当の方法による募集株式を引受けた場合は、既存株式の持分価値の低下は、募集株式の引受けによって得られるプレミアムにより埋め合わされる計算になります。
エ 既存株主の中で、募集株式を引受けない者がいると、その既存株主は、支配比率、持分価値とも損なわれます。
(2) 募集株式の発行が、公募や第三者割当の方法で行われる場合は、
ア 時価で発行する場合は、既存株主の支配比率のみが低下します。
イ 特に有利な価額で発行される場合は、持分価値も低下します。

5,会社法での定め
 公募または第三者割当ての場合のうち、有利発行の場合は、公開会社・非公開会社とも、募集事項の決定は株主総会の特別決議が必要になります(199条2項)。
 ただし、株主総会の特別決議で、取締役会に委任できます(200条1項)。
 非公開会社の場合は、時価で発行する場合であっても、株主総会の特別決議が必要になりますが、
 ただし、この場合も、株主総会の特別決議で、取締役会に委任できます(200条1項)。
さらに、非公開会社の場合は、株主割当の場合であっても、定款に別段の定めがないと、株主総会の特別決議が要ります(202条3項4号)。この点は、商法と違うところです。
公開会社の場合は、株主割当による募集株式の発行や時価で募集株式を発行するには、募集事項は取締役会の決議によれば足りることになります(前段は202条3項3号・後段は201条1項)。

6,デッド・エクイティ・スワップ(DES)
 一般に、金銭以外の財産を出資(現物出資)する場合には、原則として裁判所の選任する検査役の調査を受ける必要がありますが、金銭債権であって履行期が到来しているものを、当該金銭債権に係る負債の帳簿価額(負債は券面額で計上する会計処理を前提とすると、券面額)以下で出資するときは、検査役の調査を必要としないものとされました(会社法207条9項5号)。
 経営不振に陥った企業の再建のために、債権者がその債権を現物出資する場合(DES)、通常、対象債権の時価は券面額をかなり下回っていると考えられますが、その場合においても、履行期が到来した債権については、券面額以下ならば、現物出資を無条件に認めることになったのです。しかし、履行期が未到来の債権を現物出資するときは検査役の調査が要求されます。この場合に、債券の価格をどのように評価するかについては、争いがあるようです。

 なお、このDES(債権の現物出資)は、事業承継や相続対策に使われることが予想されます。
社長が自社に対する貸付債権を持ったままで、相続が開始しますと、その債権は、すべて相続財産になりますが、会社に繰越欠損金がある場合は、貸金債権を資本に振り替えることで、貸金債権を資産から除外し、相続することになる資産の額を減らすことができるのです。
 ただ、注意すべきは、資本金が1億円を超えますと、事業税の外形標準課税が発生することになります。

3 機関設計
1,株式会社の機関の種類
(1)株主総会 −すべての株式会社で必ず設置しなければなりません。
 株式会社の最高意思決定機関で、取締役・監査役の選・解任など、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関です。
 株主総会には、決算期ごとに開催される年1度の定時総会と、必要に応じて随時開催される臨時総会があります。

(2)取締役 −最低1人は必要。ただし、取締役会設置会社では3人以上
 株式会社の業務執行を行う機関です。

(3)取締役会 −非公開会社では、設置しなくてもよい。
 3人以上の取締役によって構成され、代表取締役の選任をはじめ重要な業務について意思決定を行う機関です。

(4)監査役 −非公開会社では設置が任意ですが、取締役会を設置する会社では、会計参与か監査役の設置が必要です。
 取締役の職務執行や会社の会計を監査する機関です。

(5)監査役会 −非公開会社では設置は任意だが、取締役会を設置しない場合には、設置できません。
 3人以上の監査役(うち半数以上は社外監査役)で構成され、監査方針の決定や監査報告の作成などを行う機関です。

(6)委員会 −監査役を設置する会社では、設置できません。
 主に大企業において機動的な経営と実効的な監督を可能にするために設けられた機関で、指名委員会・監査委員会・報酬委員会からなります。

(7)会計監査人ー大会社では必ず設置のこと、大会社以外の会社では任意設置
 主に大企業において計算書類等の監査を行う機関です。資格は公認会計士または監査法人に限定されています。

(8)会計参与 −すべての株式会社で任意設置
 新会社法で新設された機関で、取締役と共同して計算書類の作成などを行う機関です。
(注)大会社とは、資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社 を言います。


2,特徴
 会社法では、会社法の機関をどう決めるかにつて、多様な機関設計を認めていますが、非公開会社の場合で、もっとも、簡単な機関設計は、株主総会と取締役だけの機関設計です。
 商法時代のように、取締役約会の設置は義務づけられてはいません。この場合は、監査役も置いても置かなくともかまいません。ただ、株主総会と1人以上の取締役は必要です。
取締役会を設置することは無論できますが、その場合は3名以上の取締役を選任しなければなりません。取締役を設置すると、監査役か会計参与を設置しなけなりません。

 以下、この連載については、株式会社のうちで、現在最もポピュラーと思える、「非公開会社、つまり株式譲渡制限会社で、株主総会・取締役会・監査役を設置した株式会社」を中心に説明しますが、監査役が現実には役に立っていない会社が多い現実と今後金融機関や取引先からの要請を受けて、会計参与を設置する会社が増えると思われますので、「非公開会社で、株主総会、取締役会、代表取締役、会計参与」を設置する株式会社が一般的になると思われます。


3,会計参与
  • 会計参与は株主総会で選任される任意の機関です。
  • 会計参与の任務は、取締役・執行役と共同して計算書類を作成することです。
  • 会計参与は、株式会社とは別に計算書類を5年間保存する義務や、株主総会での説明義務があります。
  • 株主および株式会社の債権者は、会計参与に対し計算書類の閲覧などを請求することができることになっています。
  • 会計参与は、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人のいずれかでないとなれませんので、会計参与を設置する会社の計算書類は、その正確性が一段と確保されるでしょう。
  • 会計参与は、今後、金融機関や取引先が、その設置を要求することになり、普及することが予想されます。
  • 会社の顧問税理士が会計参与になることに問題はありません。
 株主総会、取締役会、監査役は、商法でおなじみの機関です。
 機関とは、会社がその目的を達成するために必要な意思決定(株主総会・取締役会)や、意思の執行をしたり(代表取締役)、会社の業務や会計の監査をする(監査役等)ための権限と役割を持った組織あるいは人を言います。
 株式会社について言えば、株主総会、取締役会、代表取締役、監査役等です。
会社法では、会社法の機関をどう決めるかについて、多様な機関設計を認めていますが、非公開会社の場合で、もっとも、簡単な機関設計は、
  • @ 株主総会と取締役だけの機関設計です。
      商法時代のように、取締役約会の設置は義務づけられてはいません。監査役も置いても置かなくともかまいません。ただ、株主総会と1人以上の取締役は必要です。
  • A 取締役会を設置することは無論できますが、その場合は3名以上の取締役を選任しなければなりません。
  • B 監査役を置くか置かないかも任意で決めることもできますが、監査役は現実には役に立っていない会社が多い現実を考えますと、これからは、非公開会社の場合、株主総会、取締役会、代表取締役、会計参与になるケースが増えると思われます。
 会計参与は株主総会で選任される任意の機関です。
 会計参与の任務は、取締役・執行役と共同して計算書類を作成することです。
 会計参与は、株式会社とは別に計算書類を5年間保存する義務や、株主総会での説明義務があります。
 株主および株式会社の債権者は、会計参与に対し計算書類の閲覧などを請求することができることになっています。
 会計参与は、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人のいずれかでないとなれませんので、会計参与を設置する会社の計算書類は、その正確性が一段と確保されるでしょう。
 会計参与は、今後、金融機関や取引先が、その設置を要求することになり、普及することが予想されます。
 なお、会社の顧問税理士が会計参与になることに問題はありません。

4 株主
1,権利の内容
  株主は、
  • @ 剰余金の配当を受ける権利
  • A 残余財産の分配を受ける権利
  • B 株主総会における議決権
  • C その他会社法により認められた権利
を有する、とされています。そして、@とAの権利は、定款で奪うことのできない権利とされています。

2,株主平等の原則
 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならないとされています。しかし、非公開会社は、前記@ABの権利に関しては、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます。これが属人的取扱いと言われるもので、二の株式編で詳述しました。
3,単独株主権
 1人、1株の株主でも権利行使ができる株主権

【1】責任追及等の訴えー株主代表訴訟
 (1) 提訴のできる要件
 会社法847条は、6箇月前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、書面等により、役員等の責任を追及する訴え、株主の権利の行使に関する利益の返還を求める訴えその他法が定める金銭の支払を求める訴え(責任追及等の訴え)の提起を請求することができることになっています。
 ただ、以上の要件中、
  • 定款で単元未満株式の株主にはこれを認めないことが出来ます。
  • 未公開会社の場合は、株主要件の内6ヶ月の要件は不要です。
  • 役員等の行為のときに株主でなく、その後株主になった者も訴えの提起が可能です。
(2) 訴えの提起が許されない場合
  • 責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図る場合
  • 当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、許されません。
 具体的には、総会屋が訴訟外で金銭を請求する目的で訴えを提起した場合や、株式会社の信用を毀損することを目的に提起した場合は、許されません。
(3) 不提訴理由書制度
 株式会社は、責任追及等の訴え提起の請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面等により、通知しなければならない、ことになっています。
この不提訴理由書の制度は、株式会社にとっては、役員間のなれ合いで訴訟提起をしないことを困難にしていますが、一方で、役員に対する調査結果や、訴えを提起しないことにした判断のプロセスを開示することで、逆に、無用な訴えの提起を阻止できるメリットがある規定です。

 この理由書記載する不提訴の理由としては、
  • 提訴請求の理由とされる事実関係について、社内でどのように調査をしたか。
  • 調査の結果判明した事実は何か。
  • その結果を裏付ける証拠は何か。
  • 調査結果により判明した事実を前提に、役員等の責任の有無についてどう判断したか。
  • 役員等の損害賠償義務があると判断した場合で、提訴をしないと決めたときはその理由は何か。
 を記載する必要があります。

* このような不提訴の理由書の制度があることを考えますと、株式会社としては、役員等の重要な経営判断については、常にリーガルチェックをしておくこと必要になります。

【2】取締役会の招集請求権
 取締役会設置会社の株主は、取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができます。この場合は、取締役または招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示さなければなりません。
 もし、取締役が取締役会を招集しないときは、自ら招集し、出席して意見を述べることができます。

【3】略式組織再編行為の差止請求権

【4】取締役会議事録の閲覧・謄写請求権

【5】取締役の違法行為差止請求権

【6】株主名簿の閲覧・謄写請求権

【7】株主提案権

4,少数株主権
一定の株数や議決権を有しないと権利行使ができない株主権
(1)会社帳簿閲覧・謄写請求権
(2)業務の執行に関する検査役の選任権
(3)役員の解任請求権
等があります。


5 株主総会
1,決議事項
 「取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項」に限り、決議をすることができます。
取締役会の設置されない会社の場合は、「株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項」が決議事項になります。

2,招集通知
 2週間前までに、会議の目的事項の記載または記録のある、書面または電磁的方法により、発送します。
取締役会の設置されない会社の場合は、1週間前まで(定款で短縮可能)に発出。口頭でも良い。会議の目的事項の記載や記録は不要。

3,決議要件
(1)議決権の数
  • 議決権は、株式1株につき1個ですが、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を持ちます。
  • 株式会社は、自己株式については、議決権はありません。
  • 総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主には、議決権はありません。ライブドアがフジテレビの親会社であるニッポン放送の株式を買い進めていたときに、このことが話題になりましたが、会社法についても同じ規定が置かれています。
(2)株主総会の決議
a 普通決議
 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う決議。
 数え方の例:株主5名・議決軒数100個の会社だと、51個以上の議決権を持つ株主なら、その株主1名が出席すれば可決できる。また、2人の株主で51個以上の議決権を持っていれば、2人が出席し26個以上の賛成で決議できる。
 決議事項の例:取締役の解任は普通決議になっています。

b 特別決議
 株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上をもって行う決議
 数え方の例:株主5名・議決軒数100個の会社だと、51個以上の議決権のある株主1人の出席で、可決できる。また、2人の株主で51個の議決権を持っていれば、2人が出席し、34個以上の賛成で決議できる。
 決議事項の例:定款の変更・資本金の減少・株式の併合・役員等の責任の一部免除・組織再編・合併・会社分割・株式交換及び株式移転など

c 特殊決議1
 株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う決議
 数え方の例:株主5名・議決軒数100個の会社だと、3名以上、議決権67個以上の株主が出席し、議決権67個以上の賛成で決議できる。
 決議事項の例:株式に譲渡制限を付する定款の変更など

d 特殊決議2
 総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数をもって行わなければならない決議
 数え方の例:株主5名・議決軒数100個の会社だと、3名以上、議決権67個以上の株主が出席し、議決権75個以上の賛成で決議できる。
 決議事項の例:剰余金の配当・残余財産の分配・株主総会の議決権など
(注) bcdの定足数、決議要件については、定款で、違った規定を置くことが出来ますが、bの定足数は3分の1以上、bの決議要件、cdの定足数、決議要件は、会社法以上のものでなければなりません。

4,議決権の代理行使
 株主は、代理人によってその議決権を行使することができます。

6 取締役
1,選任手続

2,権限

3,任期 
 原則として2年(監査役は4年)。非公開会社は、定款で10年(監査役も10年)までは可能。非公開会社の場合は、費用節減のため。

4,責任
(1)責任の内容
 取締役は、次のような行為により会社に損害を与えた場合、他の役員等と連帯して損害賠償等の責任を負います。
  • 違法配当 −分配可能額を超えて剰余金の配当を行うような場合。
  • 利益供与 −株主の権利行使に関して、株主に対し金銭その他の財産を供与するような場合。
  • 利益相反取引 −取締役と会社の利益が相反する取引を行うような場合(原則取締役会決議必要)。
  • 法令・定款違反 −法令や定款に違反するような行為を行うような場合。
 以上の取締役の会社に対する責任は、原則として過失責任です。つまり過失がない場合は責任はありませんが、無過失を主張する取締役に無過失の立証責任があります。
 なお、自ら利益供与や自己のための利益相反行為を行った取締役は、無過失責任になります。

(2)責任の制限
 取締役等の会社役員が会社に損害を与えた場合、損害賠償等の責任が生じますが、次のような場合には責任を制限することができます。
  • 賠償責任の全部免除
    総株主の同意がある場合、原則として会社に対する賠償責任は免除されます。
  • 賠償責任額の制限
     法令・定款に違反した役員が、善意で重過失がない場合、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)により、賠償責任額を通常次の範囲に制限することができます。
     代表取締役  報酬等の6年分
     代表取締役以外の取締役  報酬等の4年分
     社外取締役、会計参与、監査役、会計監査人  報酬等の2年分
  • 責任限定契約
     社外取締役、会計参与、社外監査役、会計監査人が、善意で重過失がない場合、定款に定めた額の範囲内であらかじめ定めた額と、上記の金額のどちらか高い方を限度として賠償責任を負う旨を、あらかじめ契約(責任限定契約)で定めることができます(この契約を締結した場合、株主総会の特別決議が不要となります。ただし、社外者以外の取締役・監査役には適用されません)
(3)第三者に対する責任
 会社法429条は、役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う、と定めており、取締役は、会社に対する責任以外に悪意または重過失があった場合には、当該第三者に対しても損害賠償等の責任を負うことになります。
 第三者に対する責任については、責任の免除、制限の規定はありません。

(4)内部統制システム構築義務
 なお、取締役は、株主に対しても、第三者に対しても、内部統制システム構築義務違反の責任が、大きな問題になります。
 内部統制システム構築義務は、会社法348条3項4号等により、取締役会(取締役会が設置されていない会社は取締役)に義務づけられたもので、
 具体的には、
  • a 業務の効率性確保
  • b 財務報告の正確性確保
  • c 企業行動における法令の遵守態勢(コンプライアンス態勢)の確保
と言われています。
 この内部統制システムとは、リスク管理態勢でもあります。
 このうち、企業が法令等に違反することにより社会的評価を定価させるリスク(定性リスク)を管理するための仕組みが、コンプライアンス態勢で、それ以外の定量リスクを管理するための仕組みが、狭義のリスク管理と言うこともできます。

  商法の下においても、これまでに、
  • a 平成14年2月19日大阪地方裁判所判決は、ある出版社が、写真週刊誌を、出版したとき、第三者の名誉を毀損する結果になったことに関して、「被告会社の代表取締役としては,少なくとも本件写真週刊誌による違法行為の続発を防止することができる社内体制を構築・整備する義務があったものというべきである。」として、第三者への損害賠償義務を認めています。
  • b その他にも、多数の判決例があります。
(5)取締役会の決議方法
 新会社法では、機動的な会社経営の実現を図るニーズの高まりを受け、書面上での決議(いわゆる「書面決議」)が認められます。

 書面決議の条件
 取締役会の決議の目的である事項について、取締役の全員が持ち回りの文書または電子メールなどによってその内容に同意をし、かつ、監査役(業務監査権限を有する監査役がいる場合)が異議を述べない場合には、決議が成立します。

 注意:すべての取締役会をいわゆる書面決議でできるわけではなく、代表取締役等が3ヶ月に1回以上行わなければならない取締役会への業務執行状況の報告については、実際に取締役会を開催する必要があります。

7 M&A
 セクハラという言葉にどのような意味を込めるかによります。改正男女雇用機会均等法21条で言う「性的な言動」をセクハラということにすれば、セクハラとは、性的な欲求や関心に基づく言動をいい、性的な差別意識や特別意識に基づく言動はセクハラとは違う言葉で説明されることになりますが、これは一般には、ジェンダーハラスメントと言われ、厳密にはセクハラと区別されています。ジェンダーハラスメントには、例えば、女性だけに職場でお茶くみ・掃除・私用を強要する、「女には仕事を任せられない」とか「お嬢さん・おばさん」など人格を認めない呼び方をする、あるいは職場外の行動としてカラオケでのデュエットを強要したり、酒席で上司の側に座席を指定したり、お酌を強要する、などがあります。 M&Aは、合併(Mergers)と買収(Acquisitions)のことですが、会社法では、以下に述べるように、「対価の柔軟化」や「簡易組織再編の適用要件の緩和」、「各種種類株式の発行」が可能となりましたので、M&Aがやりやすくなっています。
 なお、買収とは、平成17年5月27日公表の経産省・法務省のいわゆる「指針」によれば、会社に影響力を行使しうる程度の数の株式を取得する行為を言います。

7-1 株式取得
 株式取得とは、取得したい会社の株式を、その株主から購入するもので、M&Aの最も多いポピュラーなタイプです。
 2006年8月4日付け日経新聞では、製紙業界1位の王子製紙が同6位の北越製紙の株式にTOB(株式公開買い付け)をかけ、同2位の日本製紙がこれを阻止するため北越製紙の株式の取得に乗り出した、と報じていますが、上場会社でも非上場会社でも、株式取得は、最も分かりやすいM&Aです。
 株式取得の目安は、
   株主総会において特別決議を単独で可決することができる3分の2以上
   普通決議を単独で可決することができる50%超
   重要な決議事項につて拒否権を行使することができる3分の1超
の議決権シェアの確保です。
 株式取得は、中小企業経営者に後継者がいない場合の選択肢としては最適と思われます。
 メリットも株式譲渡が一番大きいと思われます。
  • @金銭面のメリット
         株式譲渡の場合、税金が譲渡益の20%のため手取りが大きい。
  • A心理面のメリット
         合併と異なり、通常はリストラを前提としないため、残った従業員等が安心して働ける。
株式譲渡のよるデメリットは、簿外債務の存在です。土壌汚染等の環境問題・会社保証・係争訴訟事件の有無・税務リスク等があげられます。いわば隠れた瑕疵の存在です。
  M&Aの場合、基本合意契約後にDD(デューディリジェンス。主として財務調査)をしますが、それでも、簿外債務や後発事象の発生リスク、従業員の離散リスク等が考えられる場合には、譲渡代金の一部を第三者等に預け、一定期間経過後、問題が生じなかったときに、支払う「エスクロー」という方法がとられる場合があります。
  株式譲渡によるM&Aを実現するためには、
   1.売上増加よりも、利益増加を追求する。
   2.不動産や有価証券、ゴルフ会員権等を減らし、預金を多く持つ。
   3.借入金を減らし、できれば無借金にする。
   4.得意先を多数の会社と取引し、分散させる。
   5.株主数を減らし、できれば家族のみにする。
   6.M&A後、新役員になれるような優秀な人材を複数人確保する。
   7.労使のトラブルを解決しておく。
   8.簿外債務をなくす。できれば、従業員の退職金はいったんまとめて支払ってしまい、退職金をなくす。
のが良い、と説かれる公認会計士さんがいます。


7-2 募集株式の発行
 募集株式の発行とは、譲受人が譲渡会社の新株を引受け(第三者割当増資に応じること等)、及び、自己株式を譲受けて、譲渡会社の支配権を取得する場合を言います。
  募集株式の募集事項は、非公開会社の場合、原則として株主総会の特別決議が必要でありますが、株主総会で一定の事項を取締役会に委任することもできます(会社法200@)。

  新株引受とは、譲渡会社が新株を「第三者割当増資」によって譲受会社に引き受けてもらい、譲受会社が経営権を取得するという方法です。
  この場合、譲渡会社が非公開会社(譲渡制限会社)の場合(会社法309条2項5号、199条2項)は、株主総会の特別決議が必要となります。
  譲渡制限会社以外の会社(上場企業など)が適正価格で発行する場合は、原則として取締役会の決議のみでできます。ただし、その場合でも、発行価格が株式の時価よりも低いなど取得者にとって有利な価格となる場合(同199条3項。有利発行とは、新株発行時期の価格よりも、特に有利と思われる価格で新株が発行されることで、目安としては、発行時期の株価の10%割引程度を超えた場合)は、株主総会の特別決議が必要となります。
  この手法によるM&Aの対価は譲渡会社に入りますので、譲渡会社がこの資金を使って新たな事業を始めたり、財務内容の健全化を図ることができます。
  このM&Aの欠点は、定款で定める発行可能株式総数の範囲内での発行でなければならないこと、既存株主に、新株発行による持株比率の希薄化という不利益をあたえることです。
  また買収を目的とした場合の第三者割当増資の割り当ての場合は、譲受会社は少なくとも増資後の総株主の議決権の過半数を超える株式数の確保が必要でしょう。

7-3 株式交換

 株式交換は、A社がすべてのB社の株主からすべてのB社株式を取得するのと引き替えに、A社の株式をB社の株主へ交付をすることで、A社がB社を完全子会社とすることを言い、買収対象の会社の株式を100%強制的に取得し、その会社を買収会社が完全子会社にしてしまう方法です。
 その株式取得の対価は買収会社の株式ですから、現金を使わないで対象会社を100%自分の会社にできるのです。
 この方法は、個々の株主と株式取得に関する交渉の必要はなく、完全子会社となる会社と完全親会社となる会社が、取締役会設置会社であればそれぞれの取締役会決議を経て株式交換契約を締結し、原則として、それぞれの会社で株主総会の特別決議の承認を得られれば可能なのです。
これに反対の株主(完全子会社となる会社の株主と完全親会社となる会社の株主の両方に関係する)には「株式買取請求権」が与えられます(同797条1項、785条1項)が、株式交換は、合併と比べると、原則として、債権者保護手続きを要しない等、手続きは簡単になっています。
このM&Aの方法のメリットは、
少数株主が多数存在する会社の完全子会社化を可能とすること
100%子会社化することで、安定した会社グループ経営を行うことが可能になること、買収資金を必要としないこと 
なお、この方法による場合、譲渡株主の課税の繰延べを認めるなど平成18年10月1日以降の税務上の取扱いが変わります。

  なお、平成19年5月1日以降は、対価の柔軟化が認められ、株式交換の際に完全親会社の株式のほかに、金銭その他の財産の交付が可能となりまる。ただ、この場合は、債権者保護手続き等が必要になります。その結果、株主に現金を交付することで、株主交換後の株主から完全子会社の株主を排除することが可能となりました。


7-4 株式移転
 株式移転とは、持株会社を作る制度です。

  既存会社一社だけで作ることもでき、複数の会社で完全親会社を設立することもできます。
  会社法772条から774条に規定されている制度ですが、詳細は今後のことにします。

7-5 事業譲渡・譲受
 事業の譲渡・譲受とは、譲渡会社が、事業の全部または一部を譲受会社に売却し、譲受会社がこれを買い受ける方法で、会社の組織法の問題ではなく、各会社が事業を財産として売買する取引法上の行為です。これは商取引ですから、譲渡会社と譲受会社との間で譲渡する財産の範囲を自由に設定できるため、簿外債務のリスクを避けたい譲受企業にとっては原則として安心できる方法です。
 事業の全部または重要な一部を譲渡する会社および他の会社の事業全部を譲り受ける会社はそれぞれ株主総会の特別決議が必要です(会社法467.309A11)。
 事業譲渡は、不採算事業からの撤退、有用事業の活用などの理由で利用されていますが、会社更生や、企業の民事再生の方法としても利用されています。

 また、事業譲渡には、取締役会決議のみで実行できる簡易・略式の事業譲渡・譲受の制度もあります。また、反対する株主は株式買取請求権を行使できます。


7-6 会社分割
 会社分割には、吸収分割と新設分割の二種類があり、吸収分割とは「株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。」もので、また、新設分割とは、「一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。」ものです(会社法2条29.30)。
 これは、組織法上の行為です。

 また会社分割は、さらに分割後の分割会社の株主の持分割合を変えないもの(按分型)と、変えるもの(非按分型)とに分かれます。
 なお、旧商法時代には、会社分割には物的分割と人的分割がありましたが、会社法では、分割の対価は分割会社のみに交付される分社型の物的分割に統一されました。分割の効力発生日(吸収分割の場合は契約で定めた日)に、分割承継会社ないし新設会社の株式を交付するに際しては、剰余金の配当にかかる財源規制は課されません。
 分割会社の株主に分割の対価を与える場合は、分割会社に入った対価を、剰余金の配当として交付しなければなりません。この場合は、当然財源規制を受けることになります。


7-7 合併   合併には吸収合併と新設合併があります。

  説明はまたの機会にいたします。
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