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使用者のための労働問題【営業秘密対策】

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<営業秘密対策



1 不正競争防止法が改正されて、営業秘密に関する処罰が強化されたんだって?
 そのとおりです。
 不正競争防止法が改正になり、2005年11月1日から施行されました。
 改正法は、不正競争防止法に違反した者への罰則が強化され、また「退職者」も処罰の対象とされています。

2 営業秘密に関する不正競争って何?
 2つの態様があります。
 1つ目は、営業秘密を不正な手段で取得したときで、
 2つ目は、営業秘密の取得は正当なものだったが、後になって、不正な競争の目的で、使用、開示したときです。

 前者は、不正競争防止法2条1項4号、5号、6号に、後者は、同7号、8号、9号に規定されています。


3 営業秘密とは何?
 営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう、とされていますが、次の3つの要件を満たすものです。
  • @秘密管理性
  • A有用性
  • B非公知性
 @の秘密管理性とは、経済産業省「営業秘密管理指針(改訂版)」の解説によれば、アクセス制限があること(アクセス制限)と、情報にアクセスした者が、それが秘密であると認識できること(客観的認識可能性)とされています。
 この2つの要件があれば、
  • 元社員が自分の発明情報であっても対象
  • 従業員が記憶の中にある営業秘密(例えば顧客名簿)を持ち出す行為も対象になりますが、
  • 従業員の個人的なノウハウやコツは営業秘密ではない。
  • 社内秘とされていても、アクセス制限がされていなかったり、従業員がそれを秘 密であると認識するような客観的な事情がない場合は、営業秘密ではない。
とされています。
 なお、
  • 秘密保持契約の締結があると「秘密管理性」が認められやすい
とされています。
 一般に、従業員には、就業規則上・あるいは信義則状の秘密保持義務はあるが、退職した後は、一般的には秘密保持義務はないので、契約の必要性は大きいものがあります。

 Aの有用性とは、経産省の前記指針によれば、経済活動での優位性ということです。
  • 経営効率の改善に役立つ情報
  • 実験の失敗などのネガティブ情報も営業秘密たり得る。
  • 成約ができなかった顧客情報も営業秘密たり得る。
とされていますが、
  • 社会正義に反したり、公序良俗に反する情報は営業秘密として保護されません。

 Bの非公知性とは、社会に知られていないことです。学会で発表したり、ホームページで公表したものは公知になりますので、営業秘密性を失います。

4 営業秘密については、企業は従業員などと秘密保持契約を結ぶ場合がありますが   何のため?営業秘密契約締結のポイントは?
 営業秘密契約の締結は、営業秘密であることを強く認識してもらうこと、営業秘密性を帯びさせること、営業秘密の漏えいを防止することなどのためです。

 営業秘密契約締結のポイントの第1は、営業秘密を特定することです。
 そのためには、営業秘密とする情報を絞り込むこと、営業秘密を、具体的な表現で特定することが重要です。
 営業秘密の特定のためには、
  • @概念(メタ形式)によって特定する。
    例示
    • 新技術Aを利用して製造した試作品Bの強度に関する検査データ
    • Bの製造におけるC工程で使用される添加剤及び調合の手順
    • (他社である)D社からの業務委託の際に提供を受けた5社以上からの借入れを有する多重債務者のデータ
  • A媒体によって特定する。
    例示
    • ラボノートXに記載された情報
    • Y社から提供されたファイルZのうち○○ページに記載されたラボノートXに記載された情報
    @とAを合わせた方法による特定もあります。
    • 新技術Aを利用して製造した試作品Bの強度に関する検査データ
B具体的詳細に特定する。
 ただし、これは漏えいすると危険性もあるので、避けるべきでしょう。
 もし、具体的に書いた場合は、秘密保持契約の中に、秘密保持契約を第三者に開示しない規定を置く必要があるでしょう。
 この場合の、例示例は、前記経産省の指針を参照のこと。
 なお、営業秘密を特定する場合、大切なことは、営業秘密の正当性・厳密性を担保するため、営業秘密にならないものを書いておくことが大切です。
 例えば、次のものは除くとして、
  • 開示前から、すでに公知であった情報
  • 開示後、公知となったものの、情報を受け取った者がなんらの責任を問われないような情報
  • 第三者から取得したが、守秘義務を課せられていない情報
等です。
 さらに、注意すべきは、営業秘密を特定しないで、「一切の情報」等と営業秘密の定義を書くと、かえって公序良俗違反とされ無効になる可能性があります。

 第2のポイントは、営業秘密契約を結ぶ人を絞り込むことです。
 まず、企業は、就業規則に従業員の秘密保持義務を明記しておくべきです。
 就業規則に書く場合は、抽象的にならざるを得ませんが、必要です。
 その上に、従業員の入社時に、秘密保持契約を結ぶか、秘密保持に関する誓約書を差し入れてもらうべきです。この時点では営業秘密の対象の特定は困難ですので、抽象的に成らざるを得ませんが必要です。なお、入社時の誓約書に、退職後の秘密保持義務を書いても無効になりますので、念のため。
 その後も、営業秘密にアクセスする機会が増える毎に、例えば、特定のプロジェクトを始めたり部署を移動するようになったときは、その前(この時点では営業秘密の内容はある程度具体的に特定可能)や、特定のプロジェクトが終了した段階(営業秘密の内容はより具体的になります。)で、要は、アクセスできる営秘密情報の対象や範囲が変わる都度、秘密保持契約を締結するべきです。
 また、従業員の退社時は特に、その必要性が大きくなります。ただし、退職者の営業の自由を制約するような、過度な秘密保持契約は無効になります。必要性を超えるものも公序良俗違反で無効になります。

 第3のポイントは、相手方の義務を特定することです。
 例えば、
  • 営業秘密を目的外に使用することを禁ずる。
  • 営業秘密を(アクセス権限のない)第三者に開示することを禁ずる。
  • 媒体の複製禁止
  • 社外への持ち出し禁止
  • 適正に管理し、また管理に協力すること
  • 退職時に、媒体を返還すること
等です。

 第4のポイントは、秘密保持契約の期間を明示することです。
 秘密性が失われたときは企業からの通知義務を課し、問い合わせがあれば誠実に回答すること等でも良いでしょう。

 第5のポイントは、違反した場合の措置を規定することです。
 法律は、差し止め、損害賠償、謝罪広告などを定めていますので、それによるのも良いでしょうが、従業員との契約では、違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約の締結は、労働基準法16条で禁止されているので要注意です。

4 3の場合、未取得の年次有給休暇を取得することで、退職日が延び、その間に次年度の基準日が到来し、新たに年次有給休暇が発生するが、その年次有給休暇も認めなければならないか。
 認めなければなりません。
5 秘密保持契約と競業避止契約は同じものなの?
 いいえ、違います。
 競業避止義務は、退職した者が秘密保持を厳守しても、同業者のところで働くことを禁ずる契約です。この競業避止契約は、秘密保持契約以上に無効になる可能性の大きい契約です。

 競業、すなわち、同業者の企業に勤務したり、同種の事業を興すことを制限するのですから、その合理的な理由、制限の期間、場所的範囲、制限の対象となる職種の範囲が何人にも納得できるものでなければなりません。それらがあっても、代償がない場合は、無効になる可能性が大です。

6 派遣労働者と秘密保持契約を結ぶ場合は、誰を相手方にするの?
 派遣労働者とは、派遣元事業者と秘密保持契約を結ぶべきです。

  なお、前記指針では、派遣従業者の場合、派遣従業者と同程度の業務に従事している自社の従事者に対して課しているのと同等の秘密保持義務を遵守するよう規定することが望ましいとされています。

8 取引先との間で、秘密保持契約を結ぶ場合の注意点は?
 不正競争防止法2条1項5号は、他の企業に勤務していた者が、他の企業の営業秘密について不正取得をしていた場合、その者より、そのことを知って、または重大な過失により知らないで営業秘密を取得したり、その営業秘密を使用し、若しくは開示する行為をした場合、不正競争になると規定していますので、途中採用者が、前の勤務先の営業秘密を持っているかどうかを確認し、そのような営業秘密を所持していないことあるいは、それを使用しないこと等を書いた誓約書を差し入れさせることが必要になります。

8 7の場合、時季変更権を行使すると従業員の年次有給休暇の権利が時効によって消滅する場合でも、時季変更権は行使できるか。
  • 自社と同じレベルで管理してもらうという観点から、また、合理性と実現性を配慮したものでないと無効になる可能性があること、
  • 情報の内容として、いたずらに広範囲にならないようにする。
  • あいまいな規定にしないこと。
  • 同義反復的な言葉は使わないこと。
 基本的には、従業員の場合と同じです。
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