本文へスキップ

岡山で弁護士をおさがしなら菊池綜合法律事務所へ

TEL.086−231−3535
(受付時間 平日9:00〜17:00、土曜9:00〜12:00)

交通事故 物損

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<交通事故【物損】



1 交通事故により自動車が破損した時の損害にはどのようなものがあるか。

  • (1)修理費
  • (2)評価損
  • (3)代車損
が通常考えられるところです。
 修理費は被害にあった車を現実に修理した費用、または修理費相当額をいい、評価損は事故に遭ったため評価が下がることによる損失をいい、代車損は修理期間中被害車輌を使用することができない為に、代わりの車を使用することによる損害をいいます。

2 修理代の請求
  裁判例は、できるとするものと、できないとするものがあります。
@肯定例
平成1年7月11日東京地裁判決は、「バッテリー液が本件自動車の広範囲な部位にわたって飛散し、バッテリー液による塗装と下地の腐食を防ぐために補修塗装の必要があったにもかかわらず、どの範囲でバッテリー液が飛散したのか明確でなかったというものであるから、原告が、車体の保護等のため本件自動車に対する修理方法として全塗装を選択したことには合理性があるものというべきである」ことから全塗装の修理代を認めておりますが、これは破損した部位以外の部位にもバッテリー液が飛散している可能性があることから、全塗装を認めたものです。
A否定例
平成6年9月13日東京地裁判決は、車の所有者が、部分塗装では色ムラが生ずるので全塗装をしたいという主張に対し、「周辺部分にぼかし塗装を施せば足りる」との理由で、全塗装を否定しております。
B否定例
平成7年2月14日東京地裁判決は、部分塗装による場合、太陽光線や蛍光灯の下で、塗装しない部分とつややくすみの差が生ずるので全塗装が必要であるとの車の所有者の主張に対し、被害車輌に「多少の光沢の差が生じるのは、被害車輌が購入後2年近く経過して、すでに色あせなどが生じていたためであることや、全塗装する場合に要する費用は、被害車輌の損傷のひどい後部の部分塗装の場合に要する費用の2倍以上にもなることなどの事情をも併せて考慮すれば、本件において、原告者の全塗装を認めるのは、過大な費用を掛けて原告者に現状回復以上の利益を得させることになることが明らかであり、修理方法として著しく妥当性を欠く」との理由で全塗装による損害を認めませんでした。
C肯定例
平成7年4月25日岡山地方裁判所津山支部判決は、初年度登録から3年余り経た高級外国車(ポルシェ)が事故により前部を中心として大きな損傷を受けたことによる修理費として、「部分塗装によって事故による修理がなされたことがわからないように完全に復元することは困難であること」を理由に全塗装の費用を認めております。

3 劣化による損害
 交通事故によって被害車輌を修理しなければならない状態になりましたが、加害者と被害者の話し合いがつかなかったため、しばらくの間自動車を修理に出さないでいたところ、車に塗装がされなかったために劣化したことにより新たに修理費用がかさむことになりました。
 これはやはり事故による損害としては賠償請求することができますか?


 できません。
 平成7年2月14日東京地方裁判所は「被害者が全塗装に固執して塗装しなかったために劣化したことにより新たに必要となった修理費用については、事故と相当因果関係が認められず、また、被害者自ら修理費用を負担して修理し、その費用を加害者に請求することもできたのであるから、損害の公平な負担という観点からも損害として認めるのは相当ではない」とされております。              

4 評価損の計算の仕方
 交通事故に遭った自動車は修理費の他、評価損が認められると聞きましたが、評価損の計算の仕方を教えてください。
 評価損の計算の仕方について、次の判例が参考になると思います。
 すなわち、平成7年12月27日東京地方裁判所判決は、被害車輌を修理するには170万円必要であるとの見積書が出されたが、修理をしないままその被害車輌を75万円で下取りにとってもらい新車に買い換えたという事案で、修理費+下取り価格である245万円が本件事故発生直後の価格であることし、これが事故発生時における被害車の現在価格を下回る場合にはその差額が評価損となると判示しております。
 そして被害車の事故発生時における現在価格については、被害車と同型の車輌の中古車としての客観的な市場価格が形成されている場合にはそれにより、まだ客観的な市場価格が形成されていない場合には、昭和45年大蔵省令第15号(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)により被害車と同じ型式の車の初年度登録時からの経過期間に対応する定率減価償却残存率に新車価格を掛けることで本件事故時における被害車の残存価格を計算すべきとしております。
 ただ一般的には修理費の一定割合を評価損と認める場合が多く、修理費の1割〜4割の範囲の裁判例がみられます。ただ事故に遭った車がすべて評価損が認められるというものではありません。
 例えば平成7年8月29日東京地方裁判所は、「初年度登録から3年余りを経過している車輌が、時価の6割程度の140万円程度をかけた部品交換および修理により、大観や機能についての現状回復がなされ、その後の運転状況からして、機能や耐久性に格別な障害が生じていない場合には、事故によりフレームが交換され車検証の車体番号が変更されたことから事故車であることが容易に判明することになったとしても、評価損を認めることはできない。」としております。

5 代車料
 交通事故によって被害車輌を修理に出したことから代車の必要が生じましたが、どの程度の代車料が認められるものですか。
@期間について
実際の修理期間に、修理をするために前日の準備と修理の翌日の後始末の必要から、修理期間に前後日を加えた日数が相当である、とする判例があります。
加害者と被害者の間で話がつかなかったために修理をしなかった期間については、原則として被害者は加害者にその間の代車料を請求できないとされております。
A金額について
車の種類にもよりますが、1日あたり2万円から3万円が多いようです。
B代車の程度
高級外国車の代車として同程度の車を要求した件について、そこまでの代車の必要はなく国産の高級車で足りるとした裁判例があります。

6 中古自動車に損傷
 インターネットオークションにより購入した中古自動車に損傷があった場合に、修理費を物損として請求できるか。
 自動車の走行が不可能になる、走行に危険が伴うものの修理費用は請求でき、それ以外の修理費用は請求できない、という裁判例があります。
 民法570条は、売主の瑕疵担保責任として、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときで買主がこれを知らないときは、買主に損害賠償請求権を認めていますが、東京地裁平成16年4月15日判決は、「『瑕疵』とは、売買の目的物が通常備えているべき性能などを備えていないことをいうが、本件のような中古自動車の売買においては、それまでの使用に伴い、当該自動車に損傷などが生じていることが多く、これを修復して売却する場合はともかく、これを修復しないで売却する場合には、その修理費用を買主が負担することを見込んで売買代金が決定されるのが一般的であるから、このような場合には、買主が修理代金を負担することが見込まれる範囲の損傷などは、これを当該自動車の瑕疵というのは相当でない。」と、判示しておりますが、他方で、「本件車両に民法570条の『瑕疵』があるというためには、前記した予想ないし予定を超えた損傷が存する場合であることを要するというべき」であると判示しております。
 そして、具体的な損傷のうち、車両の走行それ自体が不可能であるもの、危険を伴うものでない損傷は、買主が自ら修理することを覚悟していて当然というべき範囲内の損傷であるので瑕疵にならない(オークションのサイトにその旨の記載がなかったとしても、この事件の車両がインターネットオークションの中であっても極めて低廉な価格で売り渡されているものであったという状況下では)が、走行自体が不可能であるとか、危険を伴う場合は(そういった記載があればともかく)、・・・この件は、ガソリン漏れが生じている損傷であり引火の危険性などからして安全な走行それ自体が困難であるので、そのような状態は、車両の落札価額の多寡にかかわらず、自動車としての走行それ自体に危険をもたらせるものであるから、前記した予想ないし予定を超える損傷、すなわち瑕疵になる、と判示しております。
 結論として、この判決は、約77万円の物損の請求に対し、3万円の損害賠償を認めております。    

7 SAPにおける協定保険価額と実際の購入価額が異なる場合のSAPの効果
 自家用自動車総合保険(略称「SAP」対人・対物・自損事故・搭乗者障害・無保険車障害・車両保険の6種類がセットになっていて、対人事故・対物事故共に示談交渉を保険会社が代行してくれる完全パッケージともいうべき保険商品)では、被保険自動車の用途及び種類が自家用自動車である場合、保険契約締結時における被保険自動車と同一の車種・用途・車名・型式・仕様・初度登録年月の自動車の市場販売価格相当額を被保険自動車の価額として協定し、その価額(協定保険価額)を保険金額として定め、市場販売価額は控訴人の作成する自動車保険車両標準価格表(標準価格表)により定めるとの約定(価額協定条項)があり、盗難事故の場合には協定保険価額が支払われることとされていますが、協定保険価額が、実際に購入した自動車の価額より高い場合に、保険会社は、協定保険価額を支払わなければならないか、が問題になった裁判例があります。
 大阪高裁平成10年12月16日判決は、BMWを中古車販売業者から365万円で購入して、自家用自動車総合保険を締結して、協定保険価額を800万円(本体700万円、附属品部分100万円)とした後、その車両が盗難にあったため、保険金請求がなされた事案です。
 この判例では、保険価額は標準価格表に基づき協定され、購入金額が低い事実を殊更に隠微したとはいえないことを理由に公序良俗に反するとはいえないので、無効ではないが、本件車両の購入価額は365万円にすぎず、保険金額800万円との差は2.1倍を超えているので、保険金額は、損害填補を目的とするものである以上、利得禁止の原則が働き、少なくとも本件保険が評価済保険である以上、商法639条が適用され、協定保険価額が著しく過大であれば、保険者は損害填補額の減少を請求することができ、その結果、同法638条により協定保険価額を基準とせず、保険事故発生時の保険目的物の現実の価格を基準として保険金支払額を決定することになるというべきである、との理由で、800万円は認めず、343万円(減価償却分として購入金額から6%減価した金額)と臨時保険金10万円しか請求を認めませんでした。
 本件車両の所有者からはたまたま安売り業者から廉価で購入できたが、一般的にはより高値で売買されていて通常の取引価格は標準価格記載表記載の金額であるとの主張もなされましたが、本件車両の走行距離はかなり多いこと、激安業者では350万円と購入金額より安く販売されていることから、通常の売買が行われたにすぎないと認定され、その主張は排斥されています。

 目次 次へ





専門家Webガイド マイベストプロ岡山

無料法律相談のお知らせ

    

事務所のご案内

【所在地】
〒700ー0807
岡山県岡山市北区南方1丁目8番14号

【業務時間】
平日 9:00〜18:00
土曜 9:00〜12:00
TEL 086-231-3535
FAX 086-225-8787


アクセスマップはこちら

携帯サイト

http://www.kikuchi-law.jp/m/
バーコードリーダーの機能を搭載している携帯電話で、QRコードを読み取り携帯サイトへアクセスしてください。
http://www.kikuchi-law.jp/m/