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隣地の時効取得

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<隣地の時効取得


1 隣地を時効取得できる場合
 私は隣地との境界にブロック塀を築き、20年以上住んでいる者ですが、先日ブロック塀の内側で昔の境界杭と思える古い木杭を発見しました。
 これにより、私は隣地の土地の一部を無断で占拠していたことが分かったのですが、この場合その部分は隣地の所有者に返さなければならないのですか。

 あなたは隣地の一部を時効取得していると考えられますので、その場合は、返さなくてもかまいません。
 時効取得というのは、他人の土地を10年または20年間、所有の意思を持って、平穏かつ公然に占有を継続している場合にその土地を無償で取得しうる制度です。
 10年間で取得できるのは、あなたが占有の開始の時点で、善意無過失であったとき、つまり、あなたが占有している部分の一部が隣地の所有者の土地であることを知らないで(善意)、しかも、知らないことについてやむを得ないとされる時(無過失)です。
 20年間で取得できるのは、それ以外の場合です。
 したがって、あなたが仮に当初から隣地の土地を不法に占拠しているということがわかっていたとしても、20年間の占有で時効取得するのです。

2 時効取得した隣地の登記
 時効取得によって私の所有となった土地を確実に私の土地とするためには、どうすれば良いのですか。

 あなたが時効取得した土地部分は、隣地の所有地の一部ですから、隣地の所有者に対しその部分を分筆した上で、あなたへの所有権移転登記をする請求をしなければなりません。
 そして、その請求に対し、隣地の所有者が応じてくれないときは、裁判で訴えを起こせば、分筆と所有権移転登記がしてもらえます。

3 時効取得した隣地を登記しない場合の不利益
隣地の土地の一部を時効で取得した場合に、その時効取得した部分を分筆し所有権移転登記手続をしないでいると、どのような不利益が生ずるのですか。

 時効取得した土地は、分筆してもらい所有権移転登記をしてもらわなければ、その所有権を取得したことを第三者に対抗することはできません(最高裁判、昭和33.8.28)。
 第三者に対抗することはできないという意味は、あなたの名義にしないまま放っておいた場合に、隣地の所有者がその土地を第三者に売却したときは、あなたはその買い主に対し、その土地を時効取得したと主張することはできないという意味です。
 従って、隣地の所有者から、真実の境界線まで土地を返してほしいと言われれば、返さなければならないことになります。

4 境界確定訴訟と時効中断事由
 私は、隣地の所有者の土地の一部であることを知りながら、それを取り込んでブロック塀を築いて20年以上になるのですが、20年に達する前に隣地の所有者から境界確定の訴えを提起され、現在裁判中です。
 この場合でも、20年間以上隣地を占有していますので、時効取得はできるのですか。

 できません。
 取得時効に必要な期間が経過する前に裁判上の請求がなされますと時効は中断しますが、境界確定の訴えの提起も、所有権の時効取得を妨げる時効中断事由とされております。 (最高裁判、昭和38.1.18)

5 市道でも時効取得できるか。
 私が20年以上にわたり家の敷地の一部として使用してきた土地の一部が、市道であることがわかりました。
 公の土地でも、時効を主張することができるのですか。

 時効を主張することが出来る場合もあります。
 少し詳しく説明します。
 国または地方公共団体が所有する土地については公物と私物があり、公物はさらに公用物と公共用物に分けられます。
 公用物とは、国または地方公共団体自体の公用に供されているもので、例えば官公署、国立病院の敷地などです。
 公共用物とは、公物のうち一般公衆の共同の使用に供されているもの、例えば道路・河川・公園などです。
 私物とは、国または地方公共団体が一般私人と同じレベルで所有しているもので、普通財産と呼ばれるものです。
 以上まとめますと、国または地方公共団体が所有する土地は、公物(公用物と公共用物)と私物に分類することができるのです。
  このうち、私物については時効取得の対象となることに争いはありません。
 公用物は通常、時効取得が考えられませんので、問題は道路のような公共用物について時効取得が認められるかどうかになります。
 結論としては、公共用物であっても、公共用物としての機能を完全に喪失している場合は、時効取得が可能です。
  最高裁判、昭和51.12.24は、「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物の上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が阻害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、右公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当である。」と判示しております。
 具体的事案としては、公共用水路や、里道が機能を喪失している事案について時効取得を認めております。

6 農地の時効取得
・・・隣地に限りませんが・・・

 農地の所有権や賃借権を取得するには、農地法で定める許可が必要です。
 逆に言えば、農地法上の許可がない以上は農地の所有権や賃借権は取得できないということになります。
 そうしますと、これらの権利取得の要件を欠いた場合、「所有の意思」は認められず、時効取得は認められないことになるのか、が問題です。
 平成13年10月26日最高裁判所判決は、農地の所有権の時効取得について、「農地を転用目的で買い受けた者は、農地法5条所定の許可を得るための手続が執られていない場合でも、特段の事情のない限り、代金を支払い農地の引渡しを受けた時に、所有の意思をもって農地の占有を始めたものと解するのが相当である。」と判示して、時効取得を認めました。
 また、平成16年7月13日最高裁判所判決は、時効による農地の賃借権の取得については,農地法3条の規定の適用はなく,同条1項所定の許可がない場合であっても,賃借権の時効取得が認められる、と判示しております。
 これらの判決は、占有状態を保護するという時効取得の趣旨から導かれた結論です。
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