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高齢者と婚姻

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<高齢者問題と成年後見制度 【一般取引における高齢者を保護する法理論】



高齢者と婚姻

1 高齢者の婚姻が問題になるのは何故ですか。 2 痴呆性老人でも婚姻することはできますか。 3 成年被後見人が婚姻をするときは、成年後見人の同意が要りますか。それとも成年後見人が代理して婚姻するのですか。 4 高齢者と婚姻する予定で婚姻届書に署名押印してもらいましたが、婚姻届をするときになって家族の反対を理由に婚姻を止めたいと言われました。このまま婚姻届をしても有効になりますか。 5 高齢者に婚姻届書に署名押印してもらいましたが、婚姻届の際、意識不明の重態に陥っていた場合は、婚姻届をしても無効になりますか。 6 遺言者が存命中でも遺言無効の訴訟が起こせますか。 7 婚姻届の署名を、第三者がしても有効ですか。

1 高齢者の婚姻が問題になるのは何故ですか。

 端的に言いますと、高齢者死亡後の財産をめぐる争いが起こりやすいためです。
 配偶者になると、遺言がなければ2分の1を相続し、遺言があっても少なくとも4分の1の遺留分が認められる外、遺族年金の受給資格が与えられるなど経済的な利益が得られますが、他の相続人にとっては突如現れた配偶者の存在によって、相続財産が少なくなるなどの問題が生じるため、トラブルになるケースが見られるのです。



2 痴呆性老人でも婚姻することはできますか。

 痴呆性老人に婚姻の意思があり、婚姻の法的な効果を理解することができる判断能力、精神能力(このような能力は、一般に「婚姻能力」と呼ばれれています。)があればできます。
 逆に言いますと、婚姻の意思や婚姻能力のない婚姻届出は無効になります。婚姻能力は、財産に関する意思能力より低い程度の判断能力で足りるものと解されています。



3 痴呆性老人に遺言を書いてもらう場合は、公正証書にすると有効と認められますか。

 成年後見人の同意は要りません。
 また、婚姻は代理に親しまない行為ですので、成年後見人が代理して婚姻することもできません。
 民法738条で、成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない、とされており、戸籍の届出も、戸籍法32条で、成年後見人ではなく、成年被後見人がすることになっております。
 なお、この届出については、平成12年の改正前は、婚姻能力があることを証する医者の診断書の添附が必要とされていましたが(改正前の戸籍法32条2項)、現在は診断書の添附は要求されておらず、それだけ成年被後見人の婚姻はしやすくなったと言えます。



4 高齢者と婚姻する予定で婚姻届書に署名押印してもらいましたが、婚姻届をするときになって家族の反対を理由に婚姻を止めたいと言われました。このまま婚姻届をしても有効になりますか。

 無効です。
 婚姻届書を作成した時点では、婚姻の意思があったとしても、その後、婚姻の意思を撤回しておれば、婚姻届では無効です。
 市役所等が婚姻の他方当事者からの婚姻届不受理届を受理するのもこのためです。

5 痴呆性老人に遺言を書いてもらう場合、弁護士に依頼し、公正証書にすれば大丈夫ですか。

 かならずしも大丈夫とは言えません。
 平成9年10月24日東京地裁判決の事案は、公証人が弁護士から依頼を受けて、入院中の遺言者の遺言を作って事案ですが、公証人は、弁護士と面談し、あらかじめ遺言文案を作成した上で、弁護士とともに病院に赴き、遺言者に会い公正証書遺言を作成したのですが、それより前に遺言者に面会してその意思を確認したことはなかったこと、遺言を作る際も、公証人が遺言者の病室に入室してから退室するまでの時間は15分程度であったことなどから、公証人は、遺言者の意思能力の有無について十分に意を用いて確認した上で本件遺言書を作成したものとは認め難いとされ、公証人が弁護士とともに遺言者に会い、公正証書遺言を作ったからと言って有効になるものではないとしております。

6 前問で、婚姻届書作成の際は、婚姻の意思、能力があったが、届出の際は、死亡していたときも、婚姻届は有効ですか。

 この場合は、婚姻届は無効になります。
 ただ、注意すべきは、婚姻届が郵送でなされたときです。
 戸籍法47条で、届出人の生存中に郵送した届書は、その死亡後であっても、市町村長は、これを受理しなければならない、とされていますので、この場合は、戸籍法47条2項で、届出人の死亡の時に届出があったものとみなされ、婚姻届は有効になります。
7 婚姻届の署名を、第三者がしても有効ですか。

 有効です。
 戸籍法施行規則62条には、1項で、届出人、申請人その他の者が署名し、印を押すべき場合に印を有しないときは、署名するだけで足りる。
 署名することができないときは、氏名を代書させ、印を押すだけで足りる。署名することができず、且つ、印を有しないときは、氏名を代書させ、ぼ印するだけで足りる、2項で、前項の場合には、書面にその事由を記載しなければならない、と定められているからです。  
 最高裁判所昭和37.1.18判決も、戸籍届書には、代書のみならず、調印についても第三者が本人の委託によってなすことは許さるべきものと解するのを相当とする、としており、東京高等裁判所昭和39.9.16判決も、養子縁組の事案で、届出人が自署自捺することができるのに、他人をして代署代捺させた縁組届書であっても、それが届出人の意思に基づくものであれば、一旦受理された以上、それによって縁組は有効に成立する、としております。富山地裁高岡支部昭和47.3.14判決は、23年間内縁関係にあった者と婚姻届をすることを合意した高齢者が、その後、脳出血で意識不明になったため、内縁の相手方が、婚姻届書を作成して届出をし、その後数日して高齢者が死亡した事案で、婚姻を有効としております




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