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成年後見制度−高齢者の財産管理の制度2

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<成年後見制度−高齢者の財産管理の制度2



成年後見制度−高齢者の財産管理の制度2
■成年後見  ■法定後見制度  ■任意後見制度

1 民法上の後見制度とは何ですか。 2 後見開始の審判がなされるとどうなるのですか。 3 後見開始の審判は誰が申立できるのですか。 4 後見開始の申立は難しいのですか。また、費用はどの程度かかるのですか。 5 後見開始の審判がなされると、戸籍簿に記載されるのですか。 6 後見開始の申立は本人が反対しても出来るのですか。 7 私の父はアルツハイマーです。私はこれまで父の面倒を見てきましたので、私が後見人となって父の財産管理をしたいと思います。これに反対する兄弟もいますが、私は成年後見人になることができるでしょうか。 8 保佐制度とは何ですか。 9 被保佐人が単独ではなしえない法律行為とはどのようなものですか。10  保佐開始の申立をする場合は、本人の同意が要ると聞きましたが、事実ですか。 11  補助制度とはなんですか。 12  法定後見制度のまとめ 13  審判前の保全処分
法定後見制度
(1)民法上の後見制度とは何ですか。


 平成12年4月1日施行された改正法でできた制度で、それまでの禁治産後見制度とほぼ同じ制度です。民法7条で、「精神上の障害に因り事理を弁識する能力を欠く常況に在る者」について適用があり、後見開始の審判がなされますと、本人は、成年被後見人と呼ばれ、後見人がつきます。
 「精神上の傷害により事理を弁識する能力を欠く」とは、自分の行為の結果について合理的な判断をする能力のないこと、すなわち意思能力のないことです。「常況にある」とは、終始そのような状況にあることまでは必要ありませんが、時々は通常の精神状態に回復しても大部分の時間においてそのような精神状態であることをいいます。
 そのような人については、具体的な行為の時点での意志能力の有無を問題とせず、その人(成年被後見人)の行為を一律に取り消しうるという制度です。




2 法定後見制度  
(2)後見開始の審判がなされるとどうなるのですか。


 後見開始の審判がされますと、成年被後見人の法律行為は、後見人が代理人になってすることになり、被後見人がした法律行為は後見人によって取り消され、財産の喪失から救済されます。例えば、成年被後見人が財産を他人に譲渡したり、セールスマンの甘言に誘われて高価な宝石類を購入した場合は、成年後見人はこれを取り消し、財産を取り戻したり、代金の支払いを拒否することができるのです。
  成年被後見人が単独でした行為について、問題がないと考えれば、そのままにしておくこともできます。
  ただ、日常生活に関する行為については、成年被後見人も単独ですることができます。例えば、日用品の購入、公共料金の支払い、そのための預貯金の払い戻しなどです。これは成年後見人でも取り消すことはできません(民法9条)。



2 法定後見制度  
(3)後見開始の審判は誰が申立できるのですか。


 そうです。
 後見開始の審判の申立をすることができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補佐人、補佐監督人、補助人、補助監督人、検察官です(民法7条)が、市町村長も、65歳以上の者、知的障害者、精神障害者について、その福祉を図るために特に必要があると認めるときには、後見開始の審判を申立ることができます(老人福祉法32条、知的障害者法27条の3、精神障害者福祉法51条の11の2)。   また、任意後見契約が登記されている場合には、任意後見契約の受任者、任意後見人、任意後見監督人も後見開始の申立をすることができます。



2 法定後見制度  
(4)後見開始の申立は難しいのですか。また、費用はどの程度かかるのですか。


 そうです。
  後見開始の申立は家庭裁判所へするのですが、家庭裁判所では申立の用紙を準備しておりますので、難しい手続ではありません。後見開始の審判の申立をするときは一応診断書を添付しますが、裁判所は審判をするに当たっては、本人の精神状態について医師その他適当な者に鑑定をさせなければならないことになっております(家事審判規則24条)ので、この鑑定費用を裁判所へ予納することになりますが、10万円程度とされております。



2 法定後見制度  
(5)後見開始の審判がなされると、戸籍簿に記載されるのですか。


   禁治産者、準禁治産者制度があった民法改正前のもとでは、禁治産宣告等がなされ後見人等が選任されたときは戸籍簿に記載されていましたが、成年後見については後見、補佐、補助制度とも、その事実は本人の戸籍簿には記載されず、後見登記法による登記簿に記載されることになりました。   この後見登記法による登記簿は、現在のところ東京法務局のみに設置されておりますが、不動産の登記簿と違って誰でも閲覧できるものではなく、一定の限られた人しか閲覧や登記事項証明書はもらえません。
2 法定後見制度  
(6)後見開始の申立は本人が反対しても出来るのですか。


  後見開始の審判は、本人の同意はなくともできます。次の保佐制度についても、本人の同意がなくともできますが、補助制度の場合は本人の同意が必要です。
2 法定後見制度  
(7)私の父はアルツハイマーです。私はこれまで父の面倒を見てきましたので、私が後見人となって父の財産管理をしたいと思います。これに反対する兄弟もいますが、私は成年後見人になることができるでしょうか。


  成年後見人は、家庭裁判所が最も適任と思える人を選ぶことになっていますが、
@成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況
A成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)
B成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない(民法843条4項)ことになっています。
 そこで、本人の財産管理方法をめぐって親族間に争いがある場合や、遺産分割などの調停や訴訟が予想される場合は、本人の財産管理のために専門家である弁護士が選任される場合もありますが、お父さんの身上看護などは弁護士には不可能ですので、身上看護は、親族か施設ですることになります。

2 法定後見制度  
(8)保佐制度とはなんですか。


 これも改正法でできた制度で、それまでの準禁治産保佐制度とほぼ同じ制度です。
 民法11条で、「精神上の障害に因り事理を弁識する能力が著しく不十分なる者」について適用があり、保佐開始の審判がなされますと、本人は、被保佐人と呼ばれ、保佐人がつけられます。
 この場合、本人は被保佐人と呼ばれ、被保佐人は、一定の法律行為をするときは、保佐人の同意が必要になります。
 同意のない法律行為は保佐人が取消すことができ、財産の保護がはかられます。

2 法定後見制度  
(9)被保佐人が単独ではなしえない法律行為とはどのようなものですか。


 保佐人の同意が必要な本人の法律行為はつぎのとおりです。
  • @元本を領収し又は之を利用すること
  • A借財又は保証を為すこと
  • B不動産その他重要なる財産に関する権利の得喪を目的とする行為を為すこと
  • C訴訟行為を為すこと
  • D贈与、和解又は仲裁契約を為すこと
  • E相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割を為すこと
  • F贈与若しくは遺贈を拒絶し又は負担付の贈与若しくは遺贈を受諾すること
  • G新築、改築、増築又は大修繕を為すこと
  • H第602条に定めたる期間を超ゆる賃貸借を為すこと
   
2 法定後見制度  
(10)保佐開始の申立をする場合は、本人の同意が要ると聞きましたが、事実ですか。


保佐開始の申立をする場合、本人の同意は必要ありません。
2 法定後見制度  
(11)補助制度とは何ですか。


 これは改正法によって新たに創設された制度です。
 民法第14条で、「精神上の障害に因り事理を弁識する能力が不十分なる者」についてなされますが、後見や保佐を必要とするほど本人の精神状態が悪くはないが、しかし能力が不十分で不安があるという人のための制度です。
 補助開始の審判は、被保佐人なら保佐人の同意がないと出来ない法律行為の一部を特定して、その行為については補助者の同意を必要とするというものになります。
 例えば、被保佐人なら、借金も買い物も他人の債務の保証も保佐人の同意がないと取り消されますが、補助は、例えば、そのうちの他人の債務の保証についてのみ、補助者の同意が必要になるとする審判です。
 保佐の開始は難しいが、しかし、保護の必要がある場合に、裁判所が、危険のある法律行為に限定して、保護する制度です。
 これは本人の同意がないと申立はできません。

2 法定後見制度  
(12)法定後見制度のまとめ


補助・保佐・後見の法定後見制度の概要(H12.4施行)

補助開始の審判 保佐開始の審判 後見開始の審判
要件 <対象者>
(判断能力)
精神上の障害(痴呆・知的障害・精神障害等)により判断能力が不十分な者
一切の財産行為をしていて適切に出来るかどうか危惧がある(まだら呆けで程度の軽い人)
精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者
(まだら呆けで重症の人)
精神上の障害により判断能力を欠く常況に在る者
(医学上の「見当識」がなくなっているような人)

開始の手続 申立権者 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官等
任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人(任意後見契約)
市町村長(特別法)
本人の同意 必要 不要 不要
機関の名称 本人 被補助人 被保佐人 成年被後見人
保護者 補助人 保佐人 成年後見人
監督人 補助監督人 保佐監督人 成年後見監督人
同意権
・取消権
付与の対象 申立の範囲内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」 民法12条1項所定の行為 日常生活に関する行為以外の行為
付与の手続 補助開始の審判+同意権付与の審判+本人の同意 保佐開始の審判 後見開始の審判
取消権者 本人・補助人 本人・保佐人 本人・成年後見人
代理権 付与の対象 申立の範囲内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」 同左 財産に関するすべての法律行為
付与の手続 補助開始の審判+代理権付与の審判+本人の同意 保佐開始の審判+代理権付与の審判+本人の同意 後見開始の審判
本人の同意 必要 必要 不要
責務 身上配慮義務 本人の心身の状態及び生活の状況に配慮する義務 同左 同左
2 法定後見制度  
(13)審判前の保全処分
 後見開始、保佐開始、補助開始処分には6ヶ月ほど時間がかかるようですが、その間にも、本人が財産の処分や取引をする恐れがある場合は、どのような救済ができるのですか?


 審判に時間がかかる場合で、必要がある場合は、審判前の保全処分を申立てることができます。
 家事審判法で定める審判前の保全処分としては、
(1) 財産の監理者の選任(規則23@、30@、30の8@)
(2) 財産の管理または本人の監護に関する指示(規則23@、30@、30の8@、47,48B、106@)
(3) 後見(保佐・補助)命令(規則23A、30A、30の8A)
(4) 本人の職務の執行停止または職務代行者の選任
(5) 仮差押え、仮処分その他必要な保全処分
(6) 養子となる者の監護者選任
がありますが、後見、保佐、補助に関しては、(1)、(2)、(3)の保全処分があります。







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