本文へスキップ

岡山で弁護士をおさがしなら菊池綜合法律事務所へ

TEL.086−231−3535
(受付時間 平日9:00〜17:00、土曜9:00〜12:00)

不正競争防止法

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<不正競争防止法



1 紹介判例を読む前に知っておきたい不正競争防止法のしくみ
 1,不正競争防止法の性格
  不正競争防止法は、特許法や著作権法のような権利を与える法律ではありません。いわば権利の対象から落ちこぼれてくる部分でも、公正な競争を確保するために、事業者としてやってはいけない行為を指定して規制していく法律です。

2,規制のあり方
 第2条第1項で1号から15号まで、全部で15項目の「不正競争」を指定していますが、これも時代と共に増加してきたものです。今後も増えていく可能性が大です。法は、下記不正競争を禁じているのです。
 内容は、
  • 1 周知商品等表示の保護を目的としています。
  • 2 著名商品等表示の保護
  • 3 商品形態の模倣の禁止(ただし3年間に限る。)
  • 4〜9 企業秘密の保護
  • 10.11 プロテクト保護
  • 12 USRのドメイン名の保護
  • 13 原産地表示の禁止
  • 14 虚偽事実の流布の禁止
  • 15 国際条約関係での規制
があります。

3,違反者への制裁
 不正競争防止法第3条で、被侵害者は、侵害行為の差止め、第4条で、損害賠償の請求ができることになっております。

4,損害額の推定
  不正競争防止法第5条に、被侵害者の損害賠償請求が出来る場合の「損害」の推定規定があります。
 1項は、侵害者が売った商品の数量に、被侵害者の1個あたりの粗利額をかけた金額が損害になるという規定です。
 2項は、侵害者の利益額は被侵害者の損害額だと推定する規定です。
 3項は、侵害者が売った商品の数量に、被侵害者の1個あたりのライセンス料をかけた金額を請求で
 きるという規定です。
 被侵害者に立証の上で有利にした規定なのです。

5,その他
  その他、不正競争防止法は、侵害者に侵害の具体的態様の明示義務(6)を課したり、当事者に書類の提出等(7)を命じたり、損害計算のための鑑定(8)をさせたりする規定を置き、損害額の立証が極めて困難であるときは、裁判所が損害額を認定することまで認め(9)、被侵害者の保護に厚い規定を置いております。

2 タイプフェイス(書体)を真似る行為が不正競争とされた判例

東京高等裁判所平成5年12月24日判決


 不正競争防止法第2条第1号は、「他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、譲渡し・・・他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を不正競争の一にあげています。いわゆる「周知表示混同惹起行為」と言われる行為です。
 本件は、書体は、他人の商品等の中の「商品」に該当するのか?が争われた事案で、判決は、「商品」は必ずしも有体物に限る必要はなく、無体物であっても、その経済的価値が社会的に承認され、独立して取引の対象とされている場合は「商品」として認められる、として、その書体に類似した書体を販売している会社に対しその製造販売の禁止を命じたのです。

 コメント
 書体は、独創性や美的特性・美的創作性を欠くため著作物性はないとされているので、著作権法で保護を求めることはできません。しかし、特定の書体に、「出所表示機能」や「品質保証機能」があれば、「事業者間の公正な競争を確保する」ことを目的とする不正競争防止法の保護の対象になるということです。
 ところで、保護の対象になるのは「商品等表示」ですが、「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。」とされていますので、この判例は、書体を「商品」と認めて保護することにしたのです。
 その他、特許権、著作権等で保護されないものでも、不正競争防止法で保護されるケースは多くあります。

3 宗教法人のする宗教活動は不正競争防止法の「営業」には該当しないとされた判例

最高裁判所第平成18年1月20日判決


 この判例は、不正競争防止法でいう、「営業」の意義は、取引社会における競争関係を前提とするものであり、宗教法人の本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にある事業を含まないとして、「○○教」が「○○教△△教会」に対し「○○教」の名称使用差し止め請求を棄却しましたが、「○○教」は、「○○教△△教会」に対し、不正競争防止法によるのではなく、「○○教」という名称権に基づく使用差し止め請求もしていました。これに対しては、最高裁は、一般論として、名称権による使用差し止め請求権を認めましたが、本件の事実関係の下では、「名称を冒用されない権利が違法に侵害されたこと」にはならないと判示しました。

4 ファッション雑誌名をマンション名にすることが不正競争防止法違反の「周知表示混同惹起行為」になるとされた事例

東京地方裁判所平成16年7月2日判決


 「VOGUE」というファッション雑誌を発刊している会社が、「ラ・ヴォーグ南青山」というマンションを建築、分譲し、「La Vogue MimamiAoyama」という標章を使用している会社に対し、不正競争防止法に基づき、これらの標章の使用差し止め等を請求した事案で、判決は、マンションは、大量生産ないし大量供給され、一般に市場に流通することが予定されているので、不正競争防止法の保護の対象である「商品等表示」の「商品」に該当するとし、また、「VOGUE」というX標章と、「ラ・ヴォーグ南青山」というY標章は、呼称および観念が同じであること、両標章が類似すること、両標章の使用される商品の間に関連性が認められること、需要者が共通であり、本件マンションが「VOGUE」誌の高級でファッショナブルなイメージと同じイメージで販売されていること等を総合的に考慮すると、Y標章は、これに接した需要者に対し、X標章を連想させ、Xらと同一の商品化事業を営むグループに属する関係又はXらから使用許諾を受けている関係が存するものと誤信させるものと認められるので、「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」とされ、不正競争防止法違反になるとされました。
 なお、不正競争第2条第1号の周知表示誤認惹起行為が成立する要件である「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」とは、市場が競合するのでなくとも、両者の表示を通じて、何らかの営業上の取引関係、経済関係、組織関係が存するのではないかと誤信させること(これを「広義の混同」といいます。)で、不正競争は成立するのです。
 

5 商品番号の模倣は不正競争防止法違反にならないとされた判例

名古屋地方裁判所平成15年7月24日判決


 多種多様な刺しゅう糸を製造販売するA社が、他の色と識別するために、刺しゅう糸の色ごとに四桁の番号がを付し、販売していたところ、同業のB社が、この色番号を真似て、自社の刺しゅう糸に同じ色番号を付けて販売したので、その差止めと損害賠償を求めた事案で、判決は、色番号は、取引上の便宜性から、色の種類に応じて付されているにすぎず、色番号そのものに、他の第三者の商品と区別する「自他識別力(特別顕著性)」ないし「出所表示機能」を有するとは認められず、不正競争防止法2条1項1号の「商品の表示」には当たらないとして、A社の請求を棄却しました。

 コメント
 A社が 多種多様な刺しゅう糸の一つ一つの色を特定する手段として、四桁の色番号を付けていますが、色番号を付ける過程で、検索・調査がし易くなるような工夫がなされたことは想像できます。色番号の付け方には、いわば営業秘密とも言える智恵が潜んでいると思われますが、判決は、番号そのものに個性がないことから、上記のような結論を出しています。B社のフリーライド(ただ乗り)は批判されるべきですが、一方で、もしこの件でA社の請求を認めると、本来誰でも利用できるはずの数字について、特定人に独占的・排他的な権利を許すことになり、相当とは思えません。やむを得ない判決だと思います。

 漫画の主人公を描いた絵を模倣すると著作権侵害になりますが、そのキャラクターを真似ただけでは著作権侵害にならないという判例の考えとどこか共通するように思われます。
 目次 次へ

ナビゲーション

専門家Webガイド マイベストプロ岡山

無料法律相談のお知らせ

    

事務所のご案内

【所在地】
〒700ー0807
岡山県岡山市北区南方1丁目8番14号

【業務時間】
平日 9:00〜18:00
土曜 9:00〜12:00
TEL 086-231-3535
FAX 086-225-8787


アクセスマップはこちら

携帯サイト

http://www.kikuchi-law.jp/m/
バーコードリーダーの機能を搭載している携帯電話で、QRコードを読み取り携帯サイトへアクセスしてください。
http://www.kikuchi-law.jp/m/