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リース契約

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<リース契約

1 コンピューターとソフトを購入しリースを組んだ者ですが、コンピューターのハードの部分が納入され、ソフトがまだ納入されたいない段階で、販売会社が倒産し、ソフトは納入されることがなくなりました。そこで、私は、リース料の支払を中止しましたが、リース会社は、販売会社の倒産とリース契約は無関係なので、リース料の支払義務はなくならないと言いますが、リース契約の仕組みと、私の場合、リース料を支払わなければならないかを教えてください。
 リース契約の内容
−ファイナンス・リースまたはリース取引−

  リース契約は、たんなる物の賃貸借契約であるレンタル契約とは違う法理論が適用されます。質問のようなリースを、ファイナンス・リースまたはリース取引と言われますが、その内容は、リース業者が物件の利用を希望するユーザーのために、ユーザーがサプライヤーとの間で交渉・決定した物件を、ユーザーに代わって購入し、ユーザーとの間で締結したリース契約に基づいて、ユーザーに物件を使用収益させ、ユーザーがリース期間内支払うリース料をもって、物件購入代金、金利、費用、緒手数料等を回収しようとするものと解かれています。
  サプライヤーとユーザーとリース会社の3当事者が関与する取引全体をリース取引とよび、リース会社とユーザーとの間で結ばれる契約をリース契約とよぶのが通常です。
  リース取引は、次の順序で進行するのが通常です。
  • @ サプライヤー(あなたの場合、コンピューターの販売会社)とユーザーとの間で、ユーザーが希望する物件に関し、機種の選定や数量、価格、納期等の決定のための交渉があり、合意した条件でリース物件の選定をする。この場合、サプライヤーがリース会社を紹介するケースが多い。
       
  • A ユーザーからリース会社へリース契約の申込みをする。
  • B リース会社は、右申込みを受けて、サプライヤーとユーザー間で取り決められた見積販売価格を基礎にして、リース料見積書を提示し、リース契約が締結される。
       
  • C リース契約締結後、リース会社は、サプライヤーとの間でリース物件の売買契約を締結する。
       
  • D サプライヤーとリース会社との間で売買契約が締結されると、サプライヤーはリース物件を直接ユーザーに引き渡して納入し、ユーザーは納入物件に間違いや欠陥がないかどうか検査、検収をする。
       
  • E ユーザーによる物件の検収がすみ、物件借受証または物件受領書がユーザーからリース会社に発行され到達すると、正式にリース期間が開始する。
       
  • F リース会社はユーザーから物件借受証の発行を受けた後、サプライヤーに対して売買代金の全額を支払う。
       
  • G このほか、ユーザーとサプライヤー間でリース物件について保守契約が締結されることが多い。
   

ファイナンスリースの特色
  同じような法形式であるレンタルは民法上の賃貸借そのものであって、賃貸人は瑕疵担保責任、危険負担、保守修繕義務を負いますが、ファイナンスリースは、
   @ リース会社は、瑕疵担保責任、危険負担、保守修繕義務を負わない旨特約が結ばれる。
   A リース契約の中途解約は原則として禁止されるが、中途で契約が解除された場合、リース会社
    は物件の処分価額からリース期間終了時に有すべき残存価額を控除した残額について清算義務
    を負うとするのが判例です。
  これらの特色は、リース取引の経済的な実質(ユーザーがリース会社から売買代金相当額について金融を受けること)に由来する、とされています。ファイナンス(金融)・リース(賃貸)と言われる所以です。法形式は物件賃貸借でありながら、実質は金融(金銭消費貸借)であるためと説明されているのです。

  さて、質問のコンピューターソフトについてですが、同種の事案を裁判例から探しますと、*リース目的物であるコンピューターのプログラムに瑕疵が認められる場合であっても、リース契約には瑕疵担保責任免除の特約があり、コンピューター一式を受領したとの借受証をユーザーはリース会社
 に差入れ、リース会社は売主に代金の支払が完了している等の事実があるときは、ユーザーはリース
 契約の解除をすることができない。【昭和61年1月29日大阪高等裁判所判決判例タイムズ602号76
 頁、金融法務事情1131号43頁】
  *コンピューターのリース契約において、プログラムの提供指導とコンピューター入出力の指導が受けられなかつたことを理由にリース料の支払を拒むというユーザーの主張が否定された事例。【昭和61年
 7月8日福岡高等裁判所判決】
  *リース目的物の機械は正常に稼動しない状態ながら、既にユーザーに搬入されており、ユーザーがリース会社に対して「物件借受証」を交付している場合には、ユーザーはリース会社に対して、右機械の瑕疵ないし引渡のないことを理由にリース契約を解除することはできない。【昭和61年8月29日東京地方裁判所判決判例時報1225号75頁】
 等の判例がありますが、*社会福祉法人Yとリース会社Xとの間の警備会社Aによる警備を受けるに関わる警備機器のリース契約において、リース対象価額が通常の場合に比し3ないし4倍強に設定されておりリース料には警備料の大半が含まれていると解されるところ、Aが倒産して警備が受けられなくなったのでYがリース料の支払を止めたという場合に、Aと加盟店契約を締結し営業の拡大を図っており、Aが警備業務を履行しなくなったときにも警備料の一部の支払を余儀なくさせることになることを知りあるいは知り得べきXがリース契約を解除しYに残リース料相当損害金の支払を求めることは、通常のリース対象価額から算定される適正なリース料に相当する損害金を超える部分については信義則に反して許されないと解するのが相当である。【平成4年1月21日福岡高等裁判所判決】
という事例があり、あなたの場合は、これが参考になると考えられます。
  この判例からは、リース料がソフトの代金を含め高く設定されていて、まだソフトが納入されていないことをリース会社が知っていたか、知っていないことに過失がある場合は、機械代金は別として、ソフト代金に相当する分は、リース料の支払を拒むことが可能と考えられます。
  このことは、
  *リース契約においては、リース物件の現実の引渡しがない限りユーザーにはリース料を支払う義務が発生しないと解すべきであり、その限りで、リース業者はユーザーに対してリース物件の引渡義務を負い、その不履行の場合にユーザーはリース契約を解除して既払のリース料の返還を求めることができる。【平成8年7月19日福岡高等裁判所判決/判例タイムズ927号163頁】
とする判例、*小型電子計算機装置のリース契約の目的物件にソフトウエアも含まれる場合に、ソフトウエア引渡義務が履行されないときは、リース会社からユーザーに対する未払リース料相当の損害賠償請求は棄却され、ユーザーからリース会社に対する既払リース料の返還請求は認められる。【平成2年3月26日札幌地方裁判所判決/判例時報1359号100頁】
とする判例などがあることからも窺えます。
  ただ、札幌地裁の判例も、ユーザー側の検収確認者の署名捺印を徴求するなど体裁の整った物件借受書による確認等があって、リース会社が、過失無く、ユーザーにソフトも納入されたと思われる状況にあれば、ユーザーはリース料の支払を拒むことはできないとしているようです。
  なお、借受証については、前記判例の外にも、
  *リース会社XとユーザーYとの間のオフイスコンピューターについてのリース契約について、Yが、物件借受証の重要性を十分認識しながら、物件の引渡がないのに軽率にもその引渡を受けた旨の物件借受証をXに交付し、そのためXが物件の引渡があつたものと誤信してサプライヤーAに代金の支払をしたなどの事情がある場合、YがXに対し右借受証の記載に反して物件の引渡がないことを主張することは信義則に反し許されず、YはXに対するリース料の支払義務を免れることはできない。【昭和63年10月17日東京地方裁判所判決/判例タイムズ727号17〜20頁】
  *ファイナンスリース契約において、ユーザーの借受証発行の行為は客観的にはリース業者に対し売買代金支払(融資実行)を指示するという意味があるから、その指示に応じてリース業者が販売業者に対し物件の売買代金の支払を了した以上、これと経済的対価関係にあるユーザーのリース料金支払債務も確定的に発生したとみるべきであつて、ユーザーがリース物件引渡の欠缺を主張して支払債務の履行を拒むことは信義則に反し許されない。【昭和62年12月25日仙台高等裁判所/判決判例時報1265号92頁】
  *リース目的物の機械は正常に稼動しない状態ながら、既にユーザーに搬入されており、ユーザーがリース会社に対して「物件借受証」を交付している場合には、ユーザーはリース会社に対して、右機械の瑕疵ないし引渡のないことを理由にリース契約を解除することはできない。【昭和61年 8月29日東京地方裁判所判決/判例時報1225号75頁】
  等の判例があり、ユーザーがいったんリース会社に借受証発行を発行しますと、リース料の支払を拒否することは極めて難しくなるようです。
 ただ、*サプライヤーAがリース業者Xに節電機を販売し、XがBとの間で、瑕疵についての免責特約を含むリース契約を取交し、Bの代表者Yがリース支払債務を連帯保証したが、右節電機は所期の性能を有していなかつたという場合について、こうした免責特約は有効であるが、Xと提携関係にあつたAがBとの約束に反して借受証をXに交付したためBとしては瑕疵のことを記載せぬまま借受証を交付した結果となつたものといえること、Xが借受証を単純に信じたについては軽率な面があつたことなどからして、右重大な瑕疵についてまでXが免責特約を主張するのは信義則に反して許されないというべきである。
  【昭和63年5月18日盛岡地方裁判所遠野支部判決/判例タイムズ693号141頁】
の判例もあり、ケースによってはユーザーのリース料支払義務が否定される場合もあります。


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