本文へスキップ

岡山で弁護士をおさがしなら菊池綜合法律事務所へ

TEL.086−231−3535
(受付時間 平日9:00〜17:00、土曜9:00〜12:00)

使用者のための労働問題【給与・賞与・退職金】

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<使用者のための労働問題【給与・賞与・退職金】



1 給料の支払いには、どのような原則がありますか。
  • @通貨払いの原則
  • A直接払いの原則
  • B全額払いの原則
  • C毎月1回以上払いの原則
  • D一定期日払いの原則
が、あります。

 @通貨払いの原則は、現物支給、小切手や手形による支払いなどを禁じる趣旨です。ただ、多くの会社が採用している金融機関の預金口座への振込による支払いは、社員本人の同意があればできます。
 A直接払いの原則は、使者(代理人や第三者)に支払うことを禁じるものです。ただ、社員と同居の配偶者や子供が、社員の代わりに給料を受け取りに来れば、「使者払い」として支払われることがありますが、これは、同居の配偶者や子供は、その社員の手足となって動いていると考えられているからです。ただ、この場合、社員の意思に反してはできません。
 B全額払いの原則は、会社が社員に債権を有している場合に、相殺を禁じる意味があります。ただ、所得税や住民税、健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料は、法律上給料から天引きされることが認められていますので、これらは給料から天引きされても全額払いの原則には違反しません。また、社員の過半数を代表する労働組合、または社員の過半数を代表する者と会社が結んだ労使協定により、具体的に列挙された項目について給料から控除される場合も違反にはなりません。
 C毎月1回以上払いの原則、D一定期間払いの原則とは、毎月1回以上、一定の期日を定めて払われるという趣旨です。年俸制を採用している会社であっても、年間の給与総額が定められているというだけで、これが1年に1回とか半年ごとに支払うということが許されるわけではありません。最低毎月1回、しかも一定の期日を決めて支払うということが原則です。
2 会社の都合で仕事を休んだ場合に、どの程度給与が支払われるのですか。
 社員の側に責任がなく、会社の責任となる理由で社員を休ませた場合は、会社は、休業期間中の平均賃金の100分の60(60%)以上の休業手当を支払わなければなりません。会社の責任となる理由とは、会社に故意や過失のある場合をいいます。外部の原因により発生した事故や使用者が経営者として注意義務を尽くしても発生する事故は、不可抗力として会社の責任となるものではありません。業績の不振により、資金不足となって会社が休業する場合は、会社の責任となる理由ですので、休業手当を支払わなければなりません。労働組合のストライキにより休業する場合は、休業手当は支払われません。60%の休業手当は、休業期間に対して支払われますが、就業規則などで休日と定められている日については、休業手当は除外されます。

3 割増賃金は、どのような場合に支払われますか。
 時間外労働の場合に2割5分以上、休日労働の場合に3割5分以上、深夜労働の場合に2割5分以上の割増賃金が支払われます。時間外労働が深夜に及んだ場合は、深夜に及んだ場合以後の労働については、5割以上の割増賃金(時間外労働2割5分以上+深夜労働2割5分以上)がつきます。また、休日労働が深夜に及んだ場合にも、休日労働の3割5分以上と深夜労働の2割5分以上を合わせた6割以上の割増賃金がつきます。
4 割増賃金の計算方法は、どのようにするのですか。
 例えば次のようになります。
基本給
200,000円
役職手当
20,000円
通勤手当
20,000円
年間休日数
125日
1日の所定労働日時間
8時間
時間外労働の割増率
25%
その月の時間外労働の時間数
8時間
とすると、割増賃金の基礎となる賃金額は、
200,000円+20,000円(役職手当)=220,000円
(通勤手当は割増賃金の基礎から除外できる)
1年平均の1か月の所定労働時間数は、(365-125)×8÷12=160時間
1時間当たりの基礎賃金額は、220,000円÷160=1,375円
1か月の割増賃金の額は、1,375円×1.25×8時間=13,750円となります。

5 割増賃金を計算する場合の基礎となる給料は、どのようなものがありますか。
 次の7つの手当を除いた、その他の給与および手当です。
  • @家族手当
  • A通勤手当
  • B別居手当
  • C子女教育手当
  • D住宅手当
  • E臨時に支払われる賃金
  • F1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
 これらの手当のうち、@〜Dは生活支援手当といわれるもので、仕事の直接の対価でないので除外されます。
6 平均賃金の意味は何ですか。
 平均賃金は、次の金額を算定するときに用いられています。
  • @使用者の責任による休業の場合に支払われる休業手当
  • A社員を解雇するとき、解雇予告に代わる手当
  • B年次有給休暇の日について支払われる賃金
  • C社員が業務上災害を被った場合の災害補償
  • D減給の制裁の制限額
 平均賃金は、平均賃金を算定しなければならない事由の発生した日の前日からさかのぼった3か月間に支払われた給料の総額を、その3か月間の総日数(暦の日数)で割った額です。ただし、給料計算の締切日がある場合には、事由の発生した日の直前の締切日から3か月間をさかのぼって計算します。 ただし、平均賃金を計算する3か月間に、次の@ないしDの期間がある場合には、算定期間からその日数、また給料の総額からその期間の給料を除いて、残りの日数と給料の額で平均賃金を計算します。
  • @業務上災害による休業期間
  • A産前産後の休業期間
  • B使用者の責任による休業期間
  • C育児休業・介護休業の期間
  • D使用期間
 なお、入社して3か月を経過していない社員の場合には、3か月間をとって計算することができませんので、この場合には、入社後の期間とその期間の給料で計算します。この場合、給料の締切日があるときは、直前の締切日からさかのぼります。そのとき、一給料計算期間があるときはその期間で、その期間がないときは、入社日から事由発生日の前日までとなります。

7 賞与について
 私は、12月に入って間もなく会社を退職しましたが、12月20日に会社は全従業員に賞与(ボーナス)を支給しました。会社の就業規則には、賞与の支給日に在籍していない者には支給しない旨の条項がありますが、賞与基準となる支給期間は6月1日から11月30日までで、私はその期間は働いていましたので、退職後であっても賞与の支給は受けれるのではないかと思いますが、請求できないのですか。

 賞与は、業績が良好なときにその成果を従業員に配分するという趣旨のもので、労基法上も支給が義務づけられているものではなく、労働者が、使用者に対して当然に請求しうるという賃金ではありませんが、賞与が固定化されていて企業の業績にかかわらず月間給与額の一定月分を支給する会社もあり、労働協約、就業規則、労働契約等でそのような支給を定めた場合は、「労働の対償」である「賃金」とみなされる場合もあると思われます。しかし、一般的には、就業規則などそこまで定めているケースは少ないのではないかと思います。なお、就業規則で、支給対象期間が定められているときは、期間中の勤務割合によって支給するのが一般的だと思いますが、支給日に在籍していない者には支給しない旨の「支給日在籍条項」が定められている場合、その条項は有効とされていますので、あなたの場合は、賞与は請求できないと思われます。

8 退職金について
 私は、会社を辞め、退職しましたが、どのような場合に退職金が請求でき、どのような場合に退職金が請求できないか、また、退職金については時効は何年か教えてください。

 退職金は、就業規則などで退職金支給の定めがある場合に限って請求できるものです。就業規則などで定めがない場合は、退職金の請求はできません。また、退職金の支給の定めがある場合でも、社員が長年会社で働き貢献したことを否定されるほどの事由で懲戒解雇がされたような場合は、一般には退職金は支給されません。また、退職金請求の消滅時効は、5年となっています。賃金の場合の消滅時効は2年です。

9 不況を理由に、給与を一方的に減額することが出来るか。
 私が勤務している会社は、現在の不況を理由に、人事院勧告でも2%台の給与の減額が認められているので、給与規程を変更して、給与と賞与を2%程度減額したいといってきました。私は反対ですが、反対する従業員がいても、会社は、一方的に給与や賞与を減額することが出来るのですか。

 給与規程というのは、給与等の労働条件を定める就業規則の細則というべきですから、給与の減額は、就業規則の変更によってなされることになりますので、あなたの質問は、会社は従業員に不利益な就業規則の変更を一方的になしうるかという問題になります。
 最高裁は、
  • @労働者が被る不利益の程度
  • A就業規則変更の必要性の有無もしくは程度
  • B変更の内容が適切か否か
  • C組合や従業員と誠意ある交渉をしたか否か
 を考慮して、会社に就業規則変更の必要性と内容の合理性が認められるときは、就業規則の変更は可能であり、これに反対する従業員も拘束を受けるとしております。
 最近の判例では、年金制度の廃止について、就業規則の変更の細則である年金規程で定めている年金制度の廃止は、同学校の財政窮迫状態からみて廃止の必要性が顕著であることや、代償措置が講じられていること等から、廃止により職員の被る不利益を考慮してもなお、廃止につき合理性があるとして、有効としているもの(平成7年7月19日名古屋高等裁判所判決)や、昇給・昇進をなくすという就業規則の変更(内容は年齢による差別的取扱いを認めるもの)につき、労働者に不利益を受忍させることを許容することのできる高度の必要性に基づいた合理的な内容のものとして有効としたもの(平成11年12月27日名古屋地方裁判所判決)があります。
 あなたの場合、会社が今の不況で、2%程度の給与の減額はやむを得ないと考えられる程度の事情にあれば、就業規則の変更となる給与規程の変更は許されることになります。
 なお、就業規則の変更については、労働基準法90条で、適用になる事業場毎に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないこと、また、使用者は、労働基準監督署に就業規則変更の届出をなすについて、その意見を記した書面を添付しなければならない、ことになっております。

10 未払給与の立て替え制度勤務先が倒産した時に、労働者健康福祉機構に対し、未払の給与や退職金の立て替えを請求できるという制度があると聞いたことがありますが、教えて下さい。

 ご質問の未払賃金の立替払制度については、下記のホームページをご覧下さい。 
http://www.rofuku.go.jp/tabid/417/Default.aspx


11 従業員の給与・賞与の未払があったときの遅延損害金の率、また付加金の遅延損害金の率
 最高裁判所昭和51年7月9日判決は、商人が労働者と締結する労働契約は、反証のない限りその営業のためにするものと推定され、したがって、右契約に基づき商人である使用者が労働者に対して負う賃金債務の遅延損害金の利率は、商行為によって生じた債務に関するものとして商事法定利率によるべきものである、と判示していますので、年6%になります。
 また、雇主が労働基準法114条により付加金の支払義務を負う場合の、その遅延損害金は、付加金が労働契約に基づき発生するものではなく、労働基準法により使用者に課せられた義務の違背に対する制裁として裁判所により命じられることによって発生する義務ですから、その義務の履行を遅滞したことにより発生する損害金の利率は民事法定利率である年5%になる、と判示しております。
 目次 次へ

ナビゲーション

専門家Webガイド マイベストプロ岡山

無料法律相談のお知らせ

    

事務所のご案内

【所在地】
〒700ー0807
岡山県岡山市北区南方1丁目8番14号

【業務時間】
平日 9:00〜18:00
土曜 9:00〜12:00
TEL 086-231-3535
FAX 086-225-8787


アクセスマップはこちら

携帯サイト

http://www.kikuchi-law.jp/m/
バーコードリーダーの機能を搭載している携帯電話で、QRコードを読み取り携帯サイトへアクセスしてください。
http://www.kikuchi-law.jp/m/