本文へスキップ

岡山で弁護士をおさがしなら菊池綜合法律事務所へ

TEL.086−231−3535
(受付時間 平日9:00〜17:00、土曜9:00〜12:00)

使用者のための労働問題【契約期間】

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<使用者のための労働問題【契約期間】


1 我が社では、従業員の雇用を考えていますが、定年までは働いて貰う必要はないので、5年程度の雇用契約を結びたいと思います。その場合1年ごとの契約にしないと定年まで解雇できなくなると聞かされましたが、事実ですか。
 労働基準法14条は、「労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(特殊な場合で5年)を超える期間について締結してはならない。」と定めています。期間を定めて雇用契約を結ぶ場合3年までの契約(特殊の場合は3年までの契約)が原則です。これに違反する契約は1年までという期間を定めた部分が無効になり、期間の定めのない契約になります。期間の定めのない契約は、定年まで雇用する義務が生じ、簡単には解雇することはできません。
 5年とされている特殊な場合(職種)には、次のようなものがあります。
  • @博士の学位を有する者
  • A公認会計士、医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士
  • Bシステムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
  • C特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
  • D農林水産業・鉱工業。機械・電気・土木・建築の技術者、システムエンジニア、デザイナーであって大学卒業後5年、短大・高専卒業後6年、高校卒業後7年以上の実務経験を有する者、またはシステムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントであって、年収1075万円以上の者
  • E 国、地方公共団体、公益法人等によって知識等が優れたものと認定されている者
 それでは、長期間、例えば5年程度の期間雇用する目的で、まずは1年契約を結び、これを1年ごとに5年間更新し、5年間経過したときに、雇用契約を打ち止めにすることは許されるでしょうか。
 この場合は、はじめから5年間契約するつもりであったとすると、労働基準法14条に違反することは明かで、5年経過後の打ち止めは無効になります。

2 では、はじめは1年間のつもりの契約が更新を続け、結果的に5年間経過後に打ち止めした場合はどうなるのでしょうか。
 この場合は、判例は、分かれます。
 雇止めを無効とする判例は次のようなものがあります。
(1) 東洋リース事件平成10年3月16日東京地方裁判所判決は、期間1年の嘱託契約に基づき5年間就労してきた労働者に対する、契約更新の拒否事案について、
  • イ 契約更新の回数
  • ロ 5年間という長さ
  • ハ 業務の内容が継続性のあること
  • ニ 上司が長期間の勤務を予定する発言をしていること
  • ホ 労働者が雇用の継続を期待することに合理性が認められること
を理由に契約更新の拒否つまり、雇止めを違法とし、雇用契約は終了しないものと判示しております。

(2) 丸子警報器事件平成9年10月29日長野地方裁判所上田支部判決は、雇用期間を2か月とする臨時社員の雇止めに関する事案ですが、
  • イ 雇用契約が長期にわたり反復更新されていること
  • ロ 賞与や退職金の支給など継続雇用を予定する処遇がなされていたこと
  • ハ 更新時の契約書作成も形式的に処理されていたこと
などから、労働者において雇用継続を期待することは無理からぬものであり、雇止めの回避措置や労使間の事前協議がなされていないことから、信義則に違反するとされ、雇止め無効とされています。

(3) 学校法人池田学園事件平成9年3月31日大阪地方裁判所岸和田支部決定は、1年間の期限付常勤講師という契約内容で雇用され、右期間満了時に労働条件について話し合いがつかず、職場を去ったコンピュータ専門学校教師を同じ年の4ヶ月後に再雇用し1年後雇止めにした事案ですが、雇止めが違法とされ、期間満了後も同一条件で雇用が更新されたものとされた事例です。

(4) 中部交通事件平成8年2月1日名古屋地方裁判所決定は、期間を1年と定めたアルバイトの観光バスガイドに対する、10回の契約期間更新後の雇止めの事案ですが、これほど長期の更新は、実質上期間の定めのない契約と同視しうる関係が認められるとされた事例です。

(5) 情報技術開発事件平成8年1月29日大阪地方裁判所決定は、育児休暇後パートタイム契約を結んで復職したコンピュータープログラマーに対する、約1年10か月後の雇止めの事案ですが、パート契約が育児と仕事とを両立させるために締結されたものであるとして、雇止めを無効としています。

(6) 新潟労災病院事件平成6年8月9日新潟地方裁判所高田支部決定は、期間の定めある嘱託職員で あったが、雇用契約の継続が期待されていたこと、使用者としては雇止めを回避するための努力を怠ったこと、などから雇止めは信義則上許されないとされた事例です。

 反対に、雇い止めを有効とした判例として、
(7) トーフレ事件平成8年1月26日東京地方裁判所判決は、期間の定めのない労働契約により入社した後、1年の期間を定めた労働契約を新たに締結して就労していた労働者に対する初回の更新の拒絶が、右労働者の職責逸脱行為等によるもので適法と認められた事例ですが、この判例は、「労働者の職責逸脱行為」があったので、雇い止めに理由があるとしています。

(8) 履正社事件平成7年11月28日大阪地方裁判所決定は、雇用期間を1年とする労働契約に基づき就労していた私立高校非常勤講師に対する1回更新後の雇止めが、雇用の継続を期待することに合理性は認められないとして適法とした事案ですが、「雇用の継続を期待することに合理性は認められない」ことの事情として、
  • @期間を定めた契約書を取り交わしていること
  • A被用者は使用者である学校法人の非常勤講師であるが、これまでいくつかの学校などで、期間を定めた非常勤講師をしたことがあること
  • B学校法人に雇用された後も、他の短期大学非常勤講師を兼任していることをあげています。
 以上の判例を見ますと、原則として雇止めは無効、例外的に、労働者に問題や責任があるか、雇止めをされても他に仕事がある等他の従業員とは違う何かがある場合に雇い止めが有効になっていると言えると思われます。
 目次 次へ

ナビゲーション

専門家Webガイド マイベストプロ岡山

無料法律相談のお知らせ

    

事務所のご案内

【所在地】
〒700ー0807
岡山県岡山市北区南方1丁目8番14号

【業務時間】
平日 9:00〜18:00
土曜 9:00〜12:00
TEL 086-231-3535
FAX 086-225-8787


アクセスマップはこちら

携帯サイト

http://www.kikuchi-law.jp/m/
バーコードリーダーの機能を搭載している携帯電話で、QRコードを読み取り携帯サイトへアクセスしてください。
http://www.kikuchi-law.jp/m/