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民事再生法講義 第7回

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<民事再生法講義 第7回

第7回講義 再生債権の届出、確定、議決権、再生計画、決議


第一 再生債権の届出から確定手続
 一,届出

1.再生手続開始決定時に、再生債権の届出期間と調査期間が設定される。
 「裁判所は、再生手続開始の決定と同時に、再生債権の届出をすべき期間及び再生債権の調査をするための期間を定めなければならない」(34@)ことになっている。(同時処分・公告と通知が原則@B)

2.届出
(1) 届出の必要性
 そして、「再生手続に参加しようとする再生債権者は、債権届出期間内に、各債権について、その内容及び原因、約定劣後再生債権であるときはその旨、議決権の額その他最高裁判所規則で定める事項を裁判所に届け出なければならない」(94@)。また、「別除権者は、前項に規定する事項のほか、別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額を届け出なければならない。」(94A)のである。
 (なお、約定劣後債権とは、再生債権者と再生債務者との間において、再生手続開始前に、当該再生債務者について破産手続が開始されたとすれば当該破産手続におけるその配当の順位が破産法第99条@に規定する劣後的破産債権に後れる旨の合意がされた債権をいい、87Bで、再生債務者が再生手続開始の時においてその財産をもって約定劣後再生債権に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にあるときは、当該約定劣後再生債権を有する者は、議決権を有しない等の規定が置かれている。)
(2) 届出の効果
 手続への参加と時効中断届出の効果は、再生手続に参加することができる(86@)ことである。具体的には、他の再生債権についての異義権102@・財産状況報告集会での意見陳述権126A・再生計画案決議における議決権の行使170A・再生計画案の提出権163A・再生計画に従った弁済受領権179・簡易再生申立への同意権(211@)。
 また、再生債権の届出には、時効中断(18民訴147)の効果がある。
 別除権者が債権の届出をしな場合の時効中断効の範囲については争いがあるが、債権全額について生ずると解する。

3.届出をしない場合の効果
(1) 手続への参加ができない。
(2) 原則として失権する(178)。
(3) 失権の例外
  • @自認債権
     「再生債務者等は、債権届出期間内に届出があった再生債権について、その内容及び議決権についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。」(103@)が、「再生債務者等は、届出がされていない再生債権があることを知っている場合には、当該再生債権について、自認する内容そ出がされていないが再生債務者等が自認して認否書の記載された再生債権を自認債権という。自認債権を有する再生債権者の権利は、届出再生債権者の再生債権と同じく、その「債権が確定している場合に限り」「再生計画認可の決定が確定したときは、・・・再生計画の定めに従い、変更され」「再生計画の定めによって認められた権利を行使することができる。」(179)ことになる。
     なお、約定劣後再生債権については、再生債務者等が知っていた場合でも、自認債権として認否書に記載する義務はない(101C)。
     なお、「知っていた」とは、帳簿に記載があるなど客観的な資料で再生債務者等が認識しうる状態をいい、失念という主観的事情で変わるものではないとされている。
     また、債務の存否について争いになっている債権は、訴訟資料等があれば「知れている」債権として扱うべき(異義を留保しながら)と思われる。再生債務者等が不存在を確信していたため、再生手続開始決定の通知が送達されず、再生債権者が再生手続の存在について気がつかず届出の機会を失った場合は、95@が適用になり、181@1で免責もなく、劣後もしないことになる。
  • A届出ができなかった再生債権
     再生債権者がその責めに帰することができない事由により債権届出期間内に届出をすることができなかった再生債権で、その事由が再生計画案の付議決定前に消滅しなかったもの(181@1号)および、付議決定後に生じた再生債権(2号)、および再生債務者等が知っているにもかかわらず、自認債権として認否書に記載しなかった債権(3号)は、再生計画に定められた権利変更の一般的基準に従い、変更される。ただし3号の再生債権は、「再生計画で定められた弁済期間が満了する時・満了前に弁済が完了した場合・再生計画が取り消された場合の弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。」(181A)。つまり、失権はしないが時間的に劣後することになる。
     なお、再生計画認可確定後の再生債務者をM&Aで買収しようとする場合、再生債務者の負債は、再生計画記載のもの以外に、これらの再生債権が、言わば簿外債務になっていることに注意すべきである。再生手続開始前の罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料で、共益債権又は一般優先債権でないもの(97)も失権していない(181B)し、再生計画の認可によって効力を失うに至る手続中止中の破産手続における財団債権は共益債権となる等の注意も要る。
二,調査
 民事再生法では、書面による債権調査手続を導入し、手続を簡素化した。旧会社更生法や旧破産法時代では、一定の日に債権者が集まって調査をする調査期日方式を採用していたが、この期日方式では十分に債権調査が機能していなかった。
1.認否書の作成と提出
     「再生債務者等は、債権届出期間内に届出があった再生債権について、その内容及び議決権についての認否を記載した認否書を作成しなければならない」(101@)。そのため「再生債務者等は、認否書の作成のため必要があるときは、届出再生債権者に対し、当該届出再生債権に関する証拠書類の送付を求めることができる。」(規37)し、「認めない旨を認否書に記載するときは、その理由の要旨を付記することができる。」(規38@)認めない理由の記載は、迅速な証拠書類の提出を促し不必要な査定手続や確定訴訟を回避するためである。
また、「再生債務者等は、やむを得ない事由により期間経過後の届出又は届出事項の変更があった再生債権についても、その内容及び議決権や変更後の内容及び議決権についての認否を前項の認否書に記載することができる。」(101A)。これは特別調査期間を定める手間を省く趣旨である。
 届出のあった再生債権の内容又は議決権についての認否の記載がないときは、再生債務者等において、これを認めたものとみなす、とされており、やむを得ない事由により期間経過後の届出又は届出事項の変更があった再生債権についても。同様とする(101E)、とされている。
 再生債務者等は、一般調査期間前の裁判所の定める期限までに、認否書を裁判所に提出しなければならず(101D)、再生債務者がこれをしなかったときは、「裁判所は、監督委員若しくは管財人の申立てにより又は職権で、再生手続廃止の決定をすることができる。」ことになっている(193@3号)。
(1) 自認債権
 「再生債務者等は、届出がされていない再生債権があることを知っている場合には、当該再生債権について、自認する内容その他・・・を認否書に記載しなければならない」(101B)と規定されているが、「債権届出期間内に約定劣後再生債権の届出がなかったとき」は、記載義務はない(101C)。
 約定劣後ローン等の約定劣後債権につてまで自認債権として記載義務を課すと、再生債務者等がこれを記載しなかったときは、約定劣後債権についての権利変更の一般的基準の定めがないため、通常の再生債権についての一般的基準によって権利変更がなされてしまい、かえって劣後性がなくなってしまうからであると言われている。
 自認債権についての記載内容は規38Aに定められている。
 自認債権は、他の届出債権と同じく、一般調査期間における調査手続やその後の確定手続の対象になり、再生計画に基づいて弁済を受けるが、届出がないため、手続参加の効果はなく、したがって議決権もない。追完が可能と解されているので、特別調査期間における調査対象にはなりうる。
 再生債務者(再生債務者等ではない)が、届出がされていない再生債権があるのを知りながら認否書に記載しなかった場合、再生債務者に対する一種の制裁として、当該再生債権は「再生計画認可の決定が確定したとき」でも免責されない。しかし、劣後的扱いを受ける(181@BA)。
(2) 認否書の変更
 認否書で「認めない」と書いた後「認める」と変更することはできる(規41,再生債務者への通知義務あり)が、「認める」を「認めない」に変更することは、債権調査に入った後、またはそれ以前でも当該再生債権を持つ再生債権者が認否書を閲覧した後は、できないとされている。再生債権者の債権査定請求の機会を失って失権する危険があるためである。
 重要なことだが、認否書の内容は再生債権者に通知されない。「届出再生債権者が他の再生債権の内容又は議決権について異議を述べたときは、裁判所書記官は、当該再生債権を有する再生債権者に対し、その旨を通知しなければならない。」(規44)こととの違いがある。届出再生債権者は認否書を見ておく必要がある。この点、再生債権者には失権の危険があるので、特に注意を要する。
 認否書の変更が認められる時間的限界については議論がある、異義撤回と同様に考えるべきである。

2,債権調査
 債権調査は、再生債務者等が作成した債権認否書を対象になされる。
 届出再生債権者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、認否書に記載された再生債権の内容若しくは議決権又は自認債権の内容について、書面で、異議を述べることができる(102@)が、管財人が選任されている場合に限り、再生債務者も再生債権の内容について、書面で、異議を述べることができる(102A)。
 この再生債務者の異義は、再生債権の確定を妨げる効果はない(104@参照)。
 再生債権者が異義を述べる前提として、認否書や変更書は裁判所で閲覧に供される(規42)。再生債務者等は、・・・認否書・・に記録されている情報の内容を表示したものを、再生債権者が再生債務者の主たる営業所又は事務所において閲覧することができる状態に置く措置を執らなければならないし、再生債権者は、その営業所又は事務所において、再生債務者等に対し、同項に規定する情報のうち自己の再生債権に関する部分の内容を記録した書面の交付を求めることができ、特別調査期間が定められた場合についても同じである(規41)。
(1) 調査期間の設定
  • @一般調査期間
     「裁判所は、再生手続開始の決定と同時に、再生債権の届出をすべき期間及び再生債権の調査をするための期間を定めなければならない。」(34@)これが一般調査期間である。規18で細目が定められている。
     一般調査の対象は、再生債権の内容と議決権、自認債権の内容である。
  • A特別調査期間
     特別調査期間は、届出の追完があった再生債権や届出事項の変更があった再生債権について調査するための期間である。ただし、この対象の再生債権でも、認否書に101Aにより再生債権の内容又は議決権についての認否を記載している場合は、除かれる。すでに一般調査期間で調査ができているからである。
     再生債務者等は、特別調査期間における認否書で、再生債権を自認することはできない。
(1) 異義申述の方法
 異義は書面で述べなければならない(102)。書面(異義書)には、異議を述べる事項及び異議の理由を記載しなければならない(規39@)。
(2) 異義の効果
 債権の内容と議決権の確定が阻止される。
 管財人が選任されている場合の再生債務者も異義を述べることはできるが、この場合は、再生債権の確定を妨げる効果はない。しかし、再生手続が不成功に終わった場合に、再生債権者表の記載が再生債務者との関係で確定判決の同一の効力および債務名義性を有することを阻止する効力を有する(185@但書)。
(3) 異義の撤回
 届出再生債権者又は再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)が、再生債権の内容又は議決権についての異議を撤回する場合については、認否を認める旨に変更する場合の規定が準用されてるので(規41A)、異義を撤回する者は、異義撤回書を裁判所に提出するとともに、当該再生債権を有する再生債権者に対し、その旨を通知しなければならない。異義の撤回がいつまでできるか議論がある。
(4) 異義通知
 届出再生債権者が他の再生債権の内容又は議決権について異議を述べたときは、裁判所書記官は、当該再生債権を有する再生債権者に対し、その旨を通知しなければならない(規44)。

三,再生債権の確定
1.確定制度
 倒産処理届出において、債権者の権利をどう扱うかには、2つの考え方がある。1は、旧和議法で採用されていた、倒産債権の存在や額等を確定せず、もっぱら議決権だけを決めて決議を行う制度である。この制度は手続が簡易であるが、問題の先送りが生じる点で難点がある。2は弁済の対象となる債権は倒産手続内で内容を確定し、これに不可争的効力を与え、確定した債権でないと弁済を受けられないことにする制度である。民事再生法は後者の制度を採用しているが、この制度は、権利関係が確定して事後の争いの発生を阻止できるが、手続は重くなり時間とコストがかかる難点がある。

2,確定の時期
(1) 異義のない再生債権
  • @再生債権の調査において、再生債務者等が認め、かつ、調査期間内に届出再生債権者の異議がなかったときは、その再生債権の内容又は議決権の額は、確定する。
     自認債権にあっては、その内容が確定する。自認債権は届出をしないのであるから議決権は認められない。
  • A届出再生債権の内容又は議決権の額のいずれかのみについて異義申述があったときは、異義申述のない一方のみが確定する 。
(2) 異義等のある再生債権ー査定・訴訟の受継・外
  • @再生債権の調査において、再生債権の内容について再生債務者等が認めず、又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、異議等のある再生を有する再生債権者は、その内容の確定のために、異議者等の全員を相手方として、調査期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に査定の申立てをすることができる(105@)。ただし、「異議等のある再生債権に関し再生手続開始当時訴訟が係属する場合において、再生債権者がその内容の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。」(107@)。したがって、この場合は、再生債権者は査定の申立てはできない。また「異議等のある再生債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、再生債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。」(108@)例えば、一審で仮執行付き判決が出た場合の控訴や上告、上告受理申立、執行力のある公正証書の場合の執行異義や第三者異義訴訟等である。
     査定の裁判は、再生債権の内容についての確定届出である。議決権の額の確定については、別に定められている。もっとも、裁判所は、査定の裁判の結果に基づいて議決権の額を定めることになると思われる。
  • A査定の申立
     査定の申立ては、異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から1月の不変期間内にしなければならない(105A)。この間に査定の申立をしなかった場合でも届出がなされているので、時効中断の効果は失わない。また、再生債権がゼロであることが確定するわけではないが、再生計画認可
       決定が確定したときは免責される。
     査定の申立は、書面ですることになるが、規45で記載事項が法定されている。
     主張について、「再生債権者は、異議等のある再生債権の内容及び原因について、再生債権者表に記載されている事項のみを主張することができる。」(108)だけである。
  • B審尋
     裁判所は、査定の裁判をする場合には、異議者等を審尋しなければならない(105D)。口頭審尋の外、書面審尋でもよい。
  • C裁判
     査定の裁判においては、異議等のある再生債権について、その債権の存否及びその内容を定める(105C)。したがって、債権を全額認めない場合でも、棄却の裁判ではなく、ゼロ円と査定することになる。
     査定の申立てについての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、公告で代えることはできない(105E)。
(1) 査定の裁判に不服のある場合ー異義の訴え
 査定の申立てについての裁判に不服がある者は、その送達を受けた日から1月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる(106@)。再生債権者が不服を持つ場合は、異義等の全員を被告とし、異義者等が不服を持つ場合は再生債権者を被告としなければならない。
 訴えの口頭弁論は、同項の期間を経過した後でなければ開始することができない(106D)。これは、「訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。」(106E)に備えたものである。これには共同訴訟に関する民訴40@ないしBが準用されているので、合一確定が要求されている。
 異義の訴えの管轄裁判所は、狭義の再生裁判所を管轄する官署としての裁判所である(106A)。
 異義の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の裁判を認可し、又は変更する(106F)ことになる。
(2) 有名義債権についての特例がある。一部については触れたが、省略する。

3,債権者表
(1) 記載内容・記載時期
 裁判所書記官は、届出があった再生債権及び自認債権について、再生債権者表を作成しなければならない(99@)。これにより、再生債権の調査・確定届出の対象を明らかにする。規36では「一般調査期間の開始後遅滞なく」作成するものとされ、再生債権者表には、各債権について、その内容(約定劣後再生債権であるかどうかの別を含む。)及び原因、議決権の額並びに届出債権の額等を記載しなければならないことになっている。
 手続の結果も記載される(104A)。「再生計画認可の決定が確定したときは、・・・再生計画の条項を再生債権者表に記載」され、「再生債権者表の記載は、・・・確定判決と同一の効力を有」し、「表の記載により強制執行をすることができる。」(180)ことになる。
 「再生債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができ」(99B、更正処分に不服があれば、異義の申立ができる(18・民訴121)。
(2) 確定判決と同一の効力の意味
 「再生債権に基づき再生計画の定めによって認められた権利については、その再生債権者表の記載は、再生債務者、再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者に対して、確定判決と同一の効力を有する。」(180A)が、『確定判決と同一の効力』として、既判力を認めるかどうかについて、争いがある。いったん確定した再生債権が後になって争われて再生手続の進行を妨げられることは避けなければならないという範囲で、不可争力を与えたもので、既判力とな異なるものとの見解がある。
  
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