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境界確定訴訟

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<隣近所との法律トラブル<境界確定訴訟


1−1 筆界特定制度について
 人には戸籍があり、土地には地籍があります。地籍とは、1筆の土地が登記された時の、その境を構成するものとされた2以上の点及びこれらを結ぶ直線で表示された範囲を言います。
 土地の地籍を公示するため、法務局で、土地登記簿と付属地図が整備されていますが、そのかなりの部分は、明治初期の地租改正に伴う検地等の調査をもとに、その後の分筆や合筆等の改訂を重ねたもので、必ずしも、正確とは言いがたいものです。

 そのため、国土調査法が昭和26年に制定され、地籍調査事業が始まりましたが、平成16年度末現在でも、地籍調査がなされているのは、132,500ku(調査を要する面積の46%)でしかなく、十分とは言えません。

 そこで、平成18年1月20日より、筆界特定制度が利用できることになりました。筆界特定制度というのは、 法律上の境界(所有権界ではない。)を、「筆界特定登記官」が筆界調査委員(各地の法務局長が、弁護士や土地家屋調査士などから任命します。)の意見を参考にしながら公的に示すものです。
 しかし、この登記官の筆界の特定は、行政処分ではなく、したがって、法的な拘束力はありません。
 また、地図混乱地域では適用できない、とされています。

 筆界特定制度ができたからと言って、訴訟がなくなるわけではありませんが、訴訟はずいぶん減少すると思われます。
 これまでの境界確定訴訟には、疑問と矛盾がありました。
 特定の私人間のみの主張と立証だけで、公的な秩序に関する境界(筆界)を決めてしまうことの疑問と矛盾です。
 隣地同士の主張と証拠だけにしばられて、裁判所が判決で境界を確定した場合、その境界が、必ずしも付近の境界線と整合のとれたものになるとは限らなかったのです。
 これからは、筆界特定制度によって、近隣の地形や境界との整合性が考慮された境界が決められると思われます。
 ただ、筆界特定制度によって境界とされたところが間違う場合もあるでしょう。
 そのときは、その結果に納得できない当事者は、訴訟を起こすことができます。

 境界確定訴訟については、次項以下をお読み下さい。

1−2 境界確定訴訟の性格
    境界確定訴訟は、普通の訴訟と違う性質を有すると言われますが、どういうことですか。

 境界確定訴訟は、境界の位置について争いがある場合、あるいは境界が不明な場合に裁判所にその位置を定めてもらうための訴訟ですが、通常の民事の争いとは少し趣を異にします。
 境界は本来国が定めるものですので、境界確定訴訟でも裁判所が国に代わって境界を決めることになります。
 普通の裁判では、当事者間の合意で裁判上の和解ができ、原告が請求を放棄することや被告が請求を認諾することも自由にできます。
 また、原告の請求に理由がないと判断されたときは、裁判所から原告の請求は棄却されますが、境界確定訴訟では、裁判上の和解で境界を決めることはできません。
 また、原告からの請求の放棄、被告からの請求の認諾もできません。
 裁判所が原告の主張には理由がないと判断した場合でも請求の棄却はできません。
 この場合は、裁判所は当事者の主張する境界線に拘束されることなく審理の結果正当と判断するところを境界として確定しなければならないのです。
 このような境界確定訴訟は形式的形成訴訟と呼ばれております。

2 共有地と境界確定の訴え1
  私は、友人達と土地を共有している者です。
  隣地の所有者に対し境界確定の訴えを起こそうと思っておりますが、共有者の一人がそれに反対しています。
  私一人だけで隣地の所有者に訴えを起こすことが出来ますか。

 出来ません。
 境界確定の訴えというのは、境界の位置に争いがある場合に裁判所に確定してもらう訴訟ですが、その結果如何によっては共有地の範囲を変更したのと同じ結果が生ずることになりますので、共有地の処分に関する民法251条の「各共有者ハ他ノ共有者ノ同意アルニ非サレハ共有物ニ変更ヲ加フルコトヲ得ス」との規定の趣旨から、他の共有者の同意が必要になります。
 したがって、共有者の一人が境界確定訴訟を起こすことは出来ないとされているのです。
 最高裁判、昭和46.12.9判決は、「土地の境界は、土地の所有権と密接な関係を有するものであり、かつ、隣接する土地の所有者全員について合一に確定すべきものであるから、境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方または双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴えまたは訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解するのが相当である」としております。
 つまり、あなたは共有者の一人ですから、一人で隣地の所有者に対して訴えを起こすことは出来ません。

3 共有地と境界確定の訴え2
  共有者の一部が同意してくれないと、境界争いがあっても、境界確定の訴訟は起こせないのですか

 いいえ、起こすことはできます。
 共有者の一部が境界確定の訴えを起こすことに同意してくれない場合は、その者も被告として訴えをおこすことができるのです。
 最高裁判平成11.11.9判決は、「共有地にかかる境界確定の訴えは、固有必要的共同訴訟ではあるが、共有地についても境界を確定する必要があることは否定できず、他方、境界確定の訴えの特質により、裁判所は当事者の主張しない境界線を確定しても、民事訴訟法246条(注・裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない、という処分権主義を定めた規定)に違反しないとされていることからすると、共有者の全員が原告または被告として訴訟に関与していれば足りると解すべきであり、共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に、右訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができるものと解するのが相当である。」と判示しております。

4 借地人を相手方として境界確定訴訟を起こせるか。
  隣地には長年借地人が住んでいますが、その借地人との間に境界争いが生じました。
  その借地人を相手に境界確定の訴えを起こすことができますか。

 借地人を相手方として境界確定訴訟を起こすことはできません。
 その借地人に土地を貸している所有者にしか訴えを起こすことはできません。
 前述のように境界確定訴訟による判決は、土地の処分と同視しうるので、土地の処分権限のない借地人を相手方にすることはできず、土地の処分権源のある所有者に対してしか起こせないのです。

5 借地人から境界確定訴訟を起こすことができるか。   
  私は借地人ですが、隣地の人が私が借地している土地との境を越えて、ブロック塀を作りました。   
  そこで、私から隣地の所有者に境界確定の訴えを起こそうと思いますが、できますか。

 借地権に基づいて境界確定訴訟を起こすことはできませんが、地主のもつ所有権に代位して境界確定訴訟を起こすことはできるとされております。
どういうことかと言いますと、境界確定の訴えを起こすことができるのは土地の処分権を有する所有者だけですが、借地人は地主つまり所有者に対し、借地部分を使用することを請求する債権をもっていますので、その債権を保全するため、地主が隣地の所有者に対して提起し得る境界確定訴訟を債権者代位権(民法423条)に基づいて、行使することができるとされているのです。(岡山地裁判、昭和42.4.19)

6 借家人から境界確定訴訟を起こすことができるか。   
  借地人ではなく、借家人の方からでも債権者代位権を行使して、隣地の所有者に対し境界確定の訴えを提起することができるのですか。

 できません。
 借家人の場合は、土地の所有者に対して、土地を独立して直接使用収益させることを請求する権利はありませんので、債権者代位権によっても境界確定の訴えを起こすことはできないのです。
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