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相続4

ホーム弁護士菊池捷男の法律実務レポート 目次<【相続】4 相続財産



相続4 相続財産

1 はじめに −相続と遺産分割− 2−1 遺産分割 2−2 扶養と遺産分割 3−1 寄与分 3−2 相続人の嫁の寄与分 4 相続財産 5 遺留分と1年以上前の贈与 6 遺産分割協議をする相手方−特別代理人その他 7 遺産分割でもらった財産に瑕疵があったとき 8 遺産分割協議前の相続人の一人が勝手に家を建て始めたとき 9 相続に関する“おもしろ”判例

4−(1) 預金債権の相続については、各相続人が単独で自分の相続分の払戻請求ができるか。

 父が死亡し相続が開始しましたが、遺産の中に預金がありましたので、銀行に対し私の相続分だけ支払いを請求しましたところ、相続人全員の領収書か遺産分割協議書(遺産分割調停調書か審判の謄本を含む。)の提出がないと払戻しに応じられないと言われました。このようなことが認められるのですか?


  最高裁判例は、預金などの可分債権の相続は相続開始とともに法律上分割され、各相続人は、その相続分に応じて権利を承継するとしています(これを分割債権説といいます。)が、銀行実務は相続預金の払戻しは共同相続人全員でしなければならないとしており、最高裁判所の見解と異なります。 
  銀行実務は、分割債権説によると相続分が必ずしも明らかでない場合があるので、二重払いの危険が生ずる、として、相続人全員の領収書か遺産分割協議書(遺産分割調停調書か審判の謄本を含む。)の提出がないと払戻しに応じられないとの対応をしているものです。
 判例の一部については、銀行事務の取り扱いを事実たる慣習であると認める判例もありますが、ほとんどの判例は銀行実務の取り扱いを認めていません。従って、訴えを提起されれば、銀行も相続分に応じた預金の払戻しをしなければならないこととなります。
 特に、共同相続人の間において遺産分割協議が成立する可能性がほとんどない場合は、訴えを提起して、銀行に対し、自己の相続分の請求をする外にないことになります。


4−(2) 預金債権は遺産分割の対象にならないのか。

 最高裁が、預金債権等の可分債権の相続は相続開始とともに法律上分割され、各相続人は、その相続分に応じて権利を承継するという分割債権説を採用している以上、預金債権は各相続人に単 純に分割帰属する結果、遺産分割の対象にはならないのですか?

 理論上はそのようになりそうですが、多くの判例は金銭債権を遺産分割の対象とすることを認めています。
 共同相続人間の公平という実質的観点から、金銭債権も含めた上で遺産分割する必要のある場合があるからだとされています。


4−(3) 生命保険金、遺族年金、死亡退職金は遺産ではないのか。貰った人だけが得をするのか。

  @ 生命保険金は、相続財産にはならないで受取人として指定された人が無条件でもらえると聞き ましたが事実ですか。
  A これでは相続人間に不公平な結果が生じますがやむを得ないのですか。
  B また、生命保険金ではなく、遺族扶助料や遺族年金などの遺族給付といわれるものや死亡退職金についてはどうなのですか。

@ 生命保険金が相続財産になるか否かは場合を分けて考える必要があります。
ア 保険金の受取人として特定の者が指定されている場合は、保険金はその者の固有の権利となりますので、相続財産には含まれません。
イ 保険金受取人が「相続人」と指定されている場合も相続人である個々人を指定しているものであって相続財産には含まれません。
 ただこの場合は、相続財産に含まれないと言っても、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合は、相続分の割合によるとされていますので、結局のところ相続人が相続分に応じて、相続財産と同じように受け取ることができます。
ウ 保険金受取人が被相続人自身となっている場合は、保険金は当然相続財産となります。

A 保険金の受取人が相続人の中の特定の人に指定されている場合は、その人だけが生命保険金を受け取ることができ、他の相続人との間で不公平が生ずるのではないかとの質問ですが、確かにこの場合は不公平な結果が生じますので、実務上は受取人である相続人を特別受益者として扱い、保険金を特別受益財産として遺産に持ち戻し(加算)する審判例が多く見られます。
 特別受益財産として遺産に持ち戻し(加算)するということの意味ですが、要は、保険金を相続財産に加えて、その人の相続取り分を計算し、その中から保険金額を引くということです。
 もし、相続取り分が保険金額より少ない場合は、保険金額は返す必要はありませんが、その人は遺産の中からは1円の分割も受けられないことになります。
 ただ、生命保険金を特別受益財産とする見解の中にも、持ち戻す金額については、種々見解の対立があり、保険金額とする説、保険料の額とする説、死亡当時の解約価額とする説などがあります。
B 遺族公的年金制度に加入している者が亡くなった時、遺族に支給される遺族扶助料や遺族年金などの遺族給付も、退職金同様、相続財産ではありません。
 遺族給付は、法律により、受取人が死亡した者と同じ生計で暮らしていた配偶者や子や父母などとその資格が決められており、給付を受ける順位も定められているのですから、その受取人の固有の権利であって相続財産ではないのです。
 遺族給付についても、特別受益財産とする審判例がありますが、否定する審判例の方が多いのが現状です。
 死亡退職金も相続財産ではありません。
 死亡退職金は会社の就業規則などで定められたり、公務員の場合は法律や条令で定められております。
 たとえば、国家公務員等退職手当法によりますと、支給順位は配偶者(内縁も含む)、子、父母、孫、祖父母の順になっていますが、これは、遺族固有の財産であり、相続財産には含まれないのです。
 死亡退職金を特別受益とみるかどうかについても、肯定例と否定例があります。


4−(4) 郵便貯金も銀行預金と同じに考えて良いのですか。
 東京高裁平成11.3.25判決は、被相続人が国に対して有していた定額郵便貯金債権について、共同相続人の1人が自己の相続分に応じた払戻しを請求した事案で、定額郵便貯金は、郵便貯金法7条1項3号で、一定の据置期間を定め、分割払戻しをしない条件で一定の金額を一時に預入する郵便貯金であるが、預入れから10年を経過しない時点で、共同相続人の1人がその相続した部分について定額郵便貯金の払戻請求をすることは、定額郵便貯金の分割払戻請求にほかならないから、預入れ時の条件に反する払戻請求であり、国にはこれに応ずる義務はない、と判示し、最高裁判所はこれを支持(最高裁判所平成13.3.23上告不受理)しましたので、定額貯金については、預入れから10年間は、相続人からの分割請求は認められません。



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