本文へスキップ

岡山で弁護士をおさがしなら菊池綜合法律事務所へ

TEL.086-231-3535
(受付時間 平日9:00~17:00、土曜9:00~12:00)

目からうろこのイラスト相続 第五部 遺言事項

ホーム目からうろこのイラスト相続 目次<第五部 遺言事項 二 遺産分割の方法の指定

二 遺産分割の方法の指定

   

これが実務上最も多い遺言事項です。


1遺産分割方法の指定の意味
民法908条は「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め・・・ることができる。」と規定しています。
「遺産の分割の方法を定める」とは、他の共同相続人と遺産分割の協議をしないで、その指定された相続財産が、被相続人の死亡と同時に、その指定された相続人のものになるという規定です。


2 遺産分割方法の指定を現す表現
実務上最も多い表現が、特定の遺産を「相続させる」と書くものです。
他に、「取得させる」「所有とする。」「与える」等もあります。

 「相続させる」旨の表現は、公正証書遺言で多く使用されている言葉ですが、最高判平3.4.19は、「相続させる」趣旨の遺言は、“その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り”民法908条にいう遺産の分割の方法を定めた遺言であり、これと異なる遺産分割の協議さらには審判もなし得ないから、このような遺言にあっては、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時に直ちに、当該遺産が分割されて、当該相続人に相続により承継される、と判示しました。


3 遺産分割方法の指定の効果

⑴ 「相続させる」と書かれた特定の財産は、「相続させる」と書かれた特定の相続人が相続開始と同時に取得し、その財産は遺産分割の対象から除外される

⑵ 遺産分割の方法の指定がなされると、指定された財産が不動産の場合は、その相続人が単独で所有権移転登記手続をすることができる

⑶ 不動産の場合、「相続させる」と書かれた特定の不動産を相続した相続人は、登記なくしてその不動産の取得を第三者に対抗できる(最判平14.6.10)

この最高裁の事件は、「相続させる」旨の遺言書により不動産を相続したAが、名義を変えないでいた間に、別の相続人Bの債権者Cが、Bの相続分に対し強制執行をした事件ですが、最高裁は、「相続させる」旨の遺言による権利の移転は,法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質において異なるところはなく、法定相続分又は指定相続分の相続による不動産の権利の取得については,登記なくしてその権利を第三者に対抗することができる(最高裁昭和38.2.2判決、最高裁平成5.7.19判決)のであるから、この件においてもAの不動産の取得はCに対抗できので、C強制執行は許されないと判示したものです。

⑷ 訴訟の当事者は当該相続人
なお、不動産について遺産分割の方法の指定をしますと、被相続人の死亡により直ちにその不動産は指定された相続人の所有になりますので、その不動産に賃借権があると主張する者が賃借権確認訴訟を起こす場合は、遺言執行者ではなく、当該相続人を被告にすることになります(最高裁平成10.2.27判決)。

⑸ 「相続させる」遺言により取得する財産が、法定相続分(割合)を超える場合
この場合は、相続分の指定を伴う遺産分割の方法の指定があったとされます(東高判昭45.3.30、東地判平1.2.27)。

⑹ ただ、「相続させる」旨の遺言が遺産分割の方法の指定であるとすると、不都合な結果が生じる場合は、遺産分割方法の指定であることが否定される場合がある
東地判平4.9.22は、建物が建っている土地を短冊状に4つに分割して、それらを4人の子に1つずつ相続させる旨の遺言は、そのとおりにすると、4人の子の間に、建物の処置を巡る争いを含む紛争を生じさせる結果になるので、この遺言は、被相続人が、土地全体を4人の子で平等に分けて欲しいという意思を表したものでしかない、と判示し、遺産分割の方法の指定として認めませんでした。これは「遺言の解釈」によったものです。遺言の解釈は、遺言者の合理的な考えを忖度してなされることになるのです。




【遺言文例1】
    一 私は、長男甲にA宅地を相続させる。
    二 私は、妻に○○銀行にある預金のすべてと自宅の土地建物を相続させる。
    三 私は△△証券に預けている投資信託の全部を長女に与える。
    四 私は、次女に、下記特許権を取得させる。
    五 この遺言の効力が生ずる前に、前記相続人の一人でも亡くなったときは、
    その相続人に相続させる予定の財産は、その相続人の子らに平等の割合で相続させる。

【解説】
遺産分割方法の指定の遺言は、対象の財産を特定する必要があります。
財産の特定は、前掲「財産目録」の書き方で書いた注意点を守って書けば十分です。
遺言条項の五項は、次に述べる最高裁の判決があるために、推定相続人の死亡に備えたものです。



4 長男にA宅地を相続させると遺言を書いたが、相続開始前に長男が死亡した場合の効力
最判平23.2.22は、長男Aに全財産を相続させる旨の遺言は、長男Aの死亡によって効力を失った。
したがって、被相続人の財産は、前記遺言のない相続として、
    長男Aの3人の子(Aの代襲相続人)が各1/6(3人でAの1/2の相続分を分け合う)、
    長女Bが1/2を相続すると判示しました。



5 遺産分割方法の指定の委託
民法908条は「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め・・ることを第三者に委託することができる。」との規定を置いています。
これは被相続人が自ら相続人らが相続する遺産の内容を決めるのではなく、第三者に決めることを委ねる遺言事項です。
ただ、第三者は相続人であってはなりません。
東高判昭57.3.23は、「被相続人が遺言で遺産分割の方法の指定を委託しうるのは共同相続人以外の第三者であることを要し(民法908条参照)、共同相続人中の一人に遺産分割の方法の指定を委託する遺言は指定の公正が期待できないから無効であると解するのを相当とする」と判示しています。




【遺産分割方法の指定の委託の遺言文例】
    一 私は、私の信頼する○山△夫に、
      各相続人の相続分が法定相続分の8割程度は確保できる範囲内で、
      相続分の指定並びに遺産分割の方法を決めることを委託する。
    二 ○山△夫は、次に書く私の希望に沿って、遺産分割の方法を決めていただきたい。

【解説】
1 長男が会社の事業を引き継いでくれる場合は、長男には、
長男やその家族の分を含めて○□株式会社の発行済み株式総数の過半数が取得できるように。

2 二男が妻と同居するつもりがあるのなら、自宅は妻と二男の名義に。
ただし共有持分割合の決定は○山△夫に委ねる。

3 長女はそれ以外の財産の中からその希望するところを優先的に。

4 全相続人間で、不公平感が残らないように
目からウロコのイラスト相続 
専門家Webガイド マイベストプロ岡山

無料法律相談のお知らせ

    

事務所のご案内

【所在地】
〒700ー0807
岡山県岡山市北区南方1丁目8番14号

【業務時間】
平日 9:00~18:00
土曜 9:00~12:00
TEL 086-231-3535
FAX 086-225-8787


アクセスマップはこちら

携帯サイト

http://www.kikuchi-law.jp/m/
バーコードリーダーの機能を搭載している携帯電話で、QRコードを読み取り携帯サイトへアクセスしてください。
http://www.kikuchi-law.jp/m/